こんにちは、デジタルボーイです。福岡県の産業の特徴をデータから分析してみました。
データ出典
- データ元
- 2019年経済センサス
- 2021年経済センサス
- url:https://www.stat.go.jp/data/e-census/index.html
福岡県の産業別付加価値額と全国とのギャップ
次は、全国平均と福岡の産業別付加価値額の県内構成比データです。付加価値額はGDPに近い数値であり、「稼ぐ力」と思ってもらっていいです。
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産業 | 全国 | 福岡県 | gap |
---|---|---|---|
AB_農林漁業 | 0.4% | 0.2% | -0.2 |
C_鉱業,採石業,砂利採取業 | 0.1% | 0.0% | -0.1 |
D_建設業 | 7.0% | 9.6% | +2.6 |
E_製造業 | 16.4% | 13.9% | -2.5 |
F_電気・ガス・熱供給・水道業 | 1.1% | 1.6% | +0.5 |
G_情報通信業 | 6.0% | 4.6% | -1.4 |
H_運輸業,郵便業 | 3.8% | 5.4% | +1.6 |
I_卸売業,小売業 | 16.2% | 21.2% | +5.0 |
J_金融業,保険業 | 5.4% | 5.6% | +0.2 |
K_不動産業,物品賃貸業 | 3.6% | 4.2% | +0.6 |
L_学術研究,専門・技術サービス業 | 6.6% | 4.7% | -1.9 |
M_宿泊業,飲食サービス業 | 2.0% | 2.6% | +0.6 |
N_生活関連サービス業,娯楽業 | 1.5% | 1.8% | +0.3 |
O_教育,学習支援業 | 2.1% | 2.7% | +0.6 |
P_医療,福祉 | 21.6% | 14.2% | -7.4 |
Q_複合サービス事業 | 0.7% | 0.8% | +0.1 |
R_サービス業(他に分類されないもの) | 5.5% | 6.8% | +1.3 |
全国とのギャップが絶対値で2以上の産業に色をつけています。
福岡県の産業の特徴としては次のことが言えそうです。
全国より比率の高い産業は
- 建設業
- 卸売業・小売業
全国より比率の低い産業は
- 製造業
- 医療、福祉業
福岡県は商業の県だと言えそうです。
福岡県が他県よりも数値の高い指標
次は、都道府県データ(2020年国勢調査)の内、福岡県が上位10位にランクインしたデータを抽出しました。
指標 | 値 | ランク |
---|---|---|
O_教育,学習支援業_従事者当り純付加価値額(万円) | 396 | 3 |
I_卸売業,小売業_純付加価値額(百万円)_比率 | 21 | 3 |
K_不動産業,物品賃貸業_従事者当り純付加価値額(万円) | 686 | 4 |
O1_教育,学習支援業(学校教育)_従事者当り純付加価値額(万円) | 500 | 4 |
G_情報通信業_純付加価値額(百万円)_比率 | 5 | 4 |
K_不動産業,物品賃貸業_純付加価値額(百万円)_比率 | 4 | 4 |
Q_複合サービス事業_純付加価値額(百万円) | 84,372 | 5 |
I_卸売業,小売業_従事者当り純付加価値額(万円) | 480 | 5 |
D_建設業_純付加価値額(百万円)_比率 | 10 | 5 |
G1_情報通信業(通信業,放送業,映像・音声・文字情報制作業)_純付加価値額(百万円)_比率 | 2 | 5 |
R2_サービス業(政治・経済・文化団体,宗教を除く)_純付加価値額(百万円)_比率 | 7 | 5 |
R_サービス業(他に分類されないもの)_純付加価値額(百万円)_比率 | 7 | 5 |
D_建設業_従事者当り純付加価値額(万円) | 657 | 6 |
G2_情報通信業(情報サービス業,インターネット附随サービス業)_純付加価値額(百万円)_比率 | 3 | 6 |
L_学術研究,専門・技術サービス業_純付加価値額(百万円)_比率 | 5 | 6 |
上のデータから、次のような産業の稼ぐ力が多いことが見て取れました!
- 卸・小売
- 情報通信
- 不動産
- サービス業
- 学術研究
- 教育関連:従業員一人当たり
- 不動産:従業員一人当たり
- 卸・小売:従業員一人当たり
- 建設業:従業員一人当たり
福岡県が他県よりも産業別付加価値額の高い指標
次は、都道府県データ(2020年国勢調査)の内、福岡県が47都道府県中38位以下にランクインしたデータを抽出しました。
指標 | 値 | ランク |
---|---|---|
F_電気・ガス・熱供給・水道業_純付加価値額(百万円) | 167,153 | 38 |
O1_教育,学習支援業(学校教育)_純付加価値額(百万円) | 219,994 | 38 |
Q_複合サービス事業_純付加価値額(百万円)_比率 | 1 | 39 |
AB_農林漁業_純付加価値額(百万円)_比率 | 0 | 40 |
N_生活関連サービス業,娯楽業_純付加価値額(百万円) | 186,085 | 42 |
G1_情報通信業(通信業,放送業,映像・音声・文字情報制作業)_従事者当り純付加価値額(万円) | 1,266 | 43 |
P_医療,福祉_純付加価値額(百万円) | 1,513,238 | 44 |
E_製造業_純付加価値額(百万円)_比率 | 14 | 44 |
J_金融業,保険業_従事者当り純付加価値額(万円) | 1,024 | 45 |
AR_全産業(S_公務を除く)_純付加価値額(百万円) | 10,624,636 | 47 |
CR_非農林漁業(S_公務を除く)_純付加価値額(百万円) | 10,598,396 | 47 |
D_建設業_純付加価値額(百万円) | 1,019,681 | 47 |
上のデータから、次のような産業で稼ぐ力が低いことがわかります。
- 電気・ガス・熱・水道関連
- 教育関連
- 総合サービス関連
- 農林業
- 生活サービス関連
- 医療福祉
- 製造業
- 金融
- 建設
- 情報通信業:従業員一人当たり付加価値額
データから見えてきた福岡県の産業の特徴とは?
ここまで、福岡県が全国的に上位にランクインしている指標と下位にランクインしている指標をもとに、福岡県の特性を分析しました。最後にこれまでのデータを掘り下げ、福岡県の経済や生活に関する特徴を整理しましょう!
商業が主導する産業構造
福岡県では、卸売業・小売業の付加価値額構成比が全国平均を大きく上回り、商業が経済を支える重要な柱となっています。地理的な利点を活かし、九州全域やアジアとの交易拠点として機能していることが背景にあります。
情報通信業の「量」の多さと「質」の課題
情報通信業は付加価値額構成比で全国平均を下回るものの、事業者数は多い特徴があります。しかし、一人当たり付加価値額が全国43位と低い水準にとどまっています。これは、東京や大阪といった大都市圏や大企業からの下請け業務が多く、単価の低い業務に従事していることが一因と考えられます。技術革新や付加価値の高い業務への転換が課題です。
建設業の強さと地域密着性
建設業は付加価値額構成比が全国平均を大きく上回り、地域経済を支える主要産業の一つです。福岡市や北九州市を中心に都市再開発が進む一方で、地元中小企業による地域密着型の活動が高い比率に寄与していると考えられます。
製造業と医療福祉業の相対的な弱さ
福岡県は製造業の付加価値額構成比が全国平均を下回り、他地域に比べて製造業が経済をけん引する役割が小さいといえます。同様に、医療福祉業の構成比も低く、少子高齢化が進む中での医療福祉需要の拡大に対応した産業基盤の強化が課題です。
教育や研究分野でのポテンシャル
教育・学習支援業では従業員一人当たりの付加価値額が全国上位である一方、純付加価値額の規模は限られています。これは、高付加価値教育サービスの提供が特定の分野に集中していることを示唆しており、裾野を広げることでさらなる発展が期待されます。
サービス業の幅広い展開
サービス業全般では全国平均を上回る比率を示しており、観光や地域資源を活用した産業が成長していることがうかがえます。一方で、生活関連サービス業や娯楽業では付加価値額が伸び悩んでおり、地域独自の観光資源の活用や新規需要の創出が求められます。
まとめ
福岡県の産業構造は商業や建設業を中心とした成長が顕著であり、情報通信業や教育分野などの特定分野では高いポテンシャルを有しています。一方で、製造業や医療福祉業など一部の産業では課題が顕在化しており、これらの弱点を補完しつつ地域の強みを活かした産業政策が求められます。特に、情報通信業の付加価値向上と大都市圏からの下請け依存脱却が重要なテーマとなるでしょう。