こんにちは、デジタルボーイです。福岡市の企業の数と種類について、経済センサスという国の統計データをもとに分析してみました。
データ出典
- データ元
- 2019年経済センサス
- 2021年経済センサス
- url:https://www.stat.go.jp/data/e-census/index.html
全国や福岡県と比較した、福岡市の企業の種類の特徴は?
次は、A~Rの産業における企業数の構成比を全国、福岡県、福岡市で計算し、比較したデータです。
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業種 | 全国 | 福岡県 | 福岡市 | 全国gap | 県内gap |
---|---|---|---|---|---|
A農業,林業 | 1.47% | 0.89% | 0.1% | -1.37 | -0.79 |
B漁業 | 0.1% | 0.03% | 0.02% | -0.08 | -0.01 |
C鉱業,採石業,砂利採取業 | 0.03% | 0.02% | 0.01% | -0.02 | -0.01 |
D建設業 | 10.68% | 11.17% | 8.34% | -2.34 | -2.84 |
E製造業 | 4.33% | 2.92% | 1.89% | -2.44 | -1.03 |
F電気・ガス・熱供給・水道業 | 0.6% | 0.43% | 0.26% | -0.34 | -0.17 |
G情報通信業 | 4.28% | 3.31% | 5.16% | +0.88 | +1.85 |
H運輸業,郵便業 | 2.19% | 2.19% | 1.24% | -0.96 | -0.95 |
I卸売業,小売業 | 17.3% | 20.51% | 21.72% | +4.41 | +1.21 |
J金融業,保険業 | 1.67% | 1.62% | 1.96% | +0.28 | +0.34 |
K不動産業,物品賃貸業 | 13.51% | 12.84% | 14.25% | +0.74 | +1.41 |
L学術研究,専門・技術サービス業 | 9.56% | 9.15% | 11.75% | +2.2 | +2.61 |
M宿泊業,飲食サービス業 | 7.26% | 8.22% | 8.98% | +1.72 | +0.77 |
N生活関連サービス業,娯楽業 | 5.3% | 5.72% | 5.65% | +0.35 | -0.07 |
O教育,学習支援業 | 3.21% | 3.04% | 3.24% | +0.03 | +0.2 |
P医療,福祉 | 7.49% | 8.49% | 6.85% | -0.64 | -1.64 |
Q複合サービス事業 | 0.09% | 0.06% | 0.02% | -0.08 | -0.04 |
Rサービス業(他に分類されないもの) | 10.93% | 9.41% | 8.58% | -2.35 | -0.84 |
全国とのギャップ、福岡県とのギャップがそれぞれ絶対値で2以上の産業に色をつけています。
全国から見た、福岡市の産業の特徴
全国の企業数構成比とギャップの大きな産業は以下の通り。
全国より比率の高い産業は
- 卸売・小売
全国より比率の低い産業は
- 建設業
- 製造業
- サービス業
福岡県から見た、福岡市の産業の特徴
また、福岡県の産業構成比とギャップの大きな産業は以下の通り。
県より比率の高い産業は
- 学術研究
県より比率の低い産業は
- 建設業
データから見えてきた、福岡市の産業の特徴
以上のように福岡市の産業構成比について、全国と福岡県内で比較してみました。これらのデータ分析から見えてきた、福岡市の産業の特徴についてまとめてみましょう!
全国との比較
福岡市は、全国と比べて「卸売業・小売業」の構成比が顕著に高く、+4.41%の差があります。これは、福岡市が商業都市としての役割を強く持ち、九州地方全体の物流や経済のハブとして機能していることを示していると考えられます。一方で、製造業や建設業、サービス業といった分野では全国平均を大きく下回っています。
製造業の構成比が-2.44%という差で少ない理由は、福岡市が製造業主体の都市ではなく、物流や商業を中心に発展してきた背景に起因する可能性があります。一方、建設業やサービス業については、付加価値額を基にしたデータではむしろ全国を上回る構成比が示されています。つまり、福岡市の建設業やサービス業は、企業数こそ少ないものの、規模の大きい事業所や高い生産性を持つ事業所が多いと推測できます。
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福岡県との比較
福岡県全体と比べると、福岡市は「学術研究、専門・技術サービス業」の構成比が県平均より+2.61%と突出して高い傾向があります。これは、九州大学や福岡大学、西南学院大学などの大学が多数立地し、研究機関や学術関連事業所が集積していることが主因と考えられます。これにより、地域の知的基盤が強化されている点が特徴的です。
一方、建設業については、福岡県平均より-2.84%と低くなっています。これは、福岡市が県内の他地域に比べ都市化が進んでおり、新規の大規模建設プロジェクトが少ないためと考えられます。ただし、付加価値額を基にすると、建設業の活発さが示唆されるため、福岡市の建設業は規模や生産性で勝負していると言えます。
福岡市の商業都市としての位置づけと課題
福岡市は卸売業・小売業の構成比が全国や県平均を上回る一方で、サービス業の構成比は全国と比べると少ないという一見矛盾した特徴を持っています。しかし、付加価値額ベースで見るとサービス業の重要性が際立つため、福岡市のサービス業は個人事業などのスモールビジネスではなく、事業規模の大きな企業が占めている可能性が高いです。
福岡市が「商業の街」としての地位を築いている一方で、製造業や建設業の事業所数が少ない点は、都市の発展におけるバランスに課題を残していると言えます。これを補うためには、例えば、サービス業の規模拡大や製造業の新しい形態の育成、既存産業と商業の連携強化が重要でしょう。
学術都市としての福岡市
福岡市は学術研究の分野で突出した特徴を持っており、この強みをさらに活かすことが期待されます。多くの大学を擁する福岡市では、学術研究と産業の連携を進めることで、新しい技術やビジネスモデルの創出が見込まれます。このような取り組みは、福岡市が製造業や建設業での事業所数の少なさを補完し、都市としての持続可能性を高める基盤となるでしょう。
福岡市の企業の特徴まとめ
福岡市の産業構成は、商業都市としての強みを持ちながら、学術研究を基盤にした先進性も有しています。一方で、企業数ベースでは全国や県平均を下回る分野もあり、これをどのように補完するかが今後の課題です。福岡市の多様な特性を活かし、産業の多様化や高付加価値化を推進することで、さらに魅力的な都市へと成長していくことが期待されます。