こんにちは、デジタルボーイです。今回は、お問合せの多い、行政書士事務所サイトに関する、SEO対策について、実際のサイトのデータ分析に基づいて解説したいと思います。
デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ
本記事の結論
コンサル的視点からのつぶやき・・・
行政書士ビジネスは、伝統的には自治体等に提出する許認可申請の代理をすることがメインですね。たとえば、車の車検とか住所変更とか、役所に提出する書類の代理申請などなど。
ただ、最近は、伝統的な申請代理業の枠を超えて、より専門に特化した行政書士業に乗り出される先生も多いみたいですね。例えば、外国人の在留資格に特化した事務所だったり、法人向けに補助金申請サポートを行なったり、公的書類のオンライン申請のサポートを行なったり、ITサポートを行なったり。こんな風に専門に特化する流れが進めば進むほど、やっぱり、新たなお客さんを開拓するためにも、WEB集客の必要性はどんどん増していると思います。以降では、WEB集客の鍵となるSEO対策について、解説していきます。
行政書士サイトのSEO施策の優先順位・・・行政書士事務所のSEO対策では、限られたリソースを効果的に活用するために優先順位をつけて取り組むことが重要です。特に、スマホ対応とページ表示速度の向上は、訪問者の利便性向上に直結するため最優先事項です。その後、ページの内容充実や画像の最適化を通じて、ユーザーが求める情報を過不足なく提供することが効果的です。また、キーワードの配置や内部リンクの最適化は、短期的な成果が期待できる施策として早めに取り組むことをおすすめします。このように段階的に実施することで、効率的かつ持続的にSEOの成果を高めることができます。
まずは、今回の分析結果の結論は以下のとおりです。忙しい方は、以下だけでも読んでください。
データから見た、行政書士事務所SEOのポイント!(結論抜粋)
- サイト規模・・・行政書士サイトはSEO対策が行き届いていないことが多く、まずは、数十ページのサイトをしっかりと作り込むことが重要だと言えます。
- トップページの表示速度・・・遅いサイトを作ってしまうと、他のサイトに比べユーザーの利便性が悪くなり、その結果、検索順位の低下に繋がる可能性があります。最低限、中程度のサイトは作るようにしましょう。
- トップページの文字数・・・行政書士サイトは2000文字程度でトップページを作成することが適切だと言えます。
- トップページの画像数・・・行政書士先生の顔写真や、行政文書のスクリーンショットなどで10枚くらいを用意すると良いのではないでしょうか。
- トップページのリンク・・・内部リンクの数は中央値である16個を目安とし、行政書士に関する公文書申請サービスや料金プランの自サイトページへのリンクを設置するといいでしょう。
- スマホ対応・・・とはいえ、外国人などの就労ビザなど、若者向けの行政書士サービスも増えることを考えると、スマホ対応は早急に進めるべきでしょう。
- キーワード・・・キーワードの目安
- タイトルでのキーワードの使用回数:1回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数5回程度
データ集計結果
データの分析結果の抜粋です。
- 上位30サイト中、ポータルサイトの割合は36%の11件
- ページ数の平均は359.4ページ、中央値は50.0ページ、ページ数と順位の相関係数はr=-0.1
- 表示速度については100点満点中、平均は56.6点、中央値は60.0点、ページ数と順位の相関係数はr=-0.08
- ページ文字数の平均は1523.7、中央値は1302.0、文字数と順位の相関係数はr=0.18
- 画像数は11.5枚、中央値は6.0枚、画像数と順位の相関係数はr=0.19
- 内部リンク数は33.2、中央値は16.0、内部リンクと順位の相関係数はr=0.27
- 外部リンク数は1.6、中央値は0.0、外部リンクと順位の相関係数はr=-0.16
- レスポンシブデザインに対応しているサイトが13件(68.4)%、非レスポンシブデザインのサイトが6件(31.6)%
- タイトルに入っているキーワード「港区」の数の割合はキーワードの数が0個のサイトが7件(36.8)%、1個のサイトが12件(63.2)%
- メタディスクリプションに入っているキーワード「港区」の割合はキーワードの数が0個のサイトが11件(57.9)%、1個のサイトが8件(42.1)%
- コンテンツ内のキーワード「港区」の数は平均は1.2回、中央値は1.0回、ページ数と順位の相関係数はr=-0.07
- ヘッダー1-6に入っているキーワード「港区」の割合はキーワードの数が0個のサイトが11件(57.9)%、1個のサイトが8件(42.1)%
調査方法
以下は、今回の分析に用いるデータの取得方法です。
- 調査対象キーワード:「港区 + 行政書士事務所」
- データ収集方法:
- GoogleカスタムサーチAPI(公式ページ)により対象キーワードで上位30位のページURLを取得
- ページスピードについてはPageSpeedInsightsの結果データをAPIで取得。
- その他のページ内のSEO指標はページデータをPythonプログラミングにより分析。
「港区 + 行政書士事務所」で上位サイトの特徴を調べてみた!
今回は港区を例に行政書士事務所の検索上位30サイトの特徴をデータに基づいて調査し、行政書士事務所がとるべきSEO対策を解説したいと思います。
キーワード「港区 + 行政書士事務所」の上位30サイト
上位30サイトは次のとおりです。
30サイト中のポータルサイトの割合
上記30サイトの内、紹介サイトや業界協会サイトや自治体などのポータル系サイトの割合は次の通りです。
30サイト中、ポータルサイトの割合は36%の11件でした。これらサイトは今回の行政書士事務所の個別サイトの直接の競合とは見なさないため、分析から除外し、以降は19件のデータで分析したいと思います。
分析1:上位サイトはどれくらいのページを制作している?
以下にポータルサイトをのぞいた19サイトのページ数のグラフを掲載します。
結論(データから見えること)
100ページ未満の小規模サイトは12サイト、100ページの中大規模サイトは7サイトであり、小規模サイトサイトが63.2%を占めていました。また、平均は359.4ページ、中央値は50.0ページ、ページ数と順位の相関係数はr=-0.1でした。
データから見たSEOのポイント!
ポータルサイトの比率が36%です。これは、他の業界に比べると高い傾向があります。ポータルサイトが上位に来る業界は、一般的にはコーポレートサイトのSEO対策が甘い傾向があります。行政書士のサイトについても、それほどSEO対策が行き届いていない感じですね。一部のサイトではページ数は2000を超える巨大サイトですが、それ以外は概ね数十ページで小規模サイトも多くを占めています。行政書士サイトはSEO対策が行き届いていないことが多く、まずは、数十ページのサイトをしっかりと作り込むことが重要だと言えます。
分析2:上位サイトのページスピードはどれくらい?
以下は19サイトのページスピードのグラフです。値は0〜100までを取り、100に近いほど「良い」という指標になります。なお、ページスピードについては、Googleが提供するWEBサイトのスピードを検査するための無料ツールであるPageSpeedInsightsをAPI接続し、取得しました(PageSpeedInsights公式ページへ)
また、ページスピードの結果を0-49を「低い」、50-89を「普通」、90-100を「高い」と区分けした場合の割合は以下となります。
結論(データから見えること)
ページスピードについては、100点満点中、平均は56.6点、中央値は60.0点、ページ数と順位の相関係数はr=-0.08でした。また、「0-49:低い」サイトが6%、「50-89:普通サイトが13%、「90-100:高い」サイトが0%でした。
データから見たSEOのポイント!
90-100点:の速いサイトは0%でしたが、50−89点の中程度のサイトは約7割を占めています。これまでの分析の傾向から、この結果は結構速いサイトが多いと思いました。おそらく、行政書士のサイトはシンプルなサイトが多く、そのため高速になっているのだと思います。このような場合、遅いサイトを作ってしまうと、他のサイトに比べユーザーの利便性が悪くなり、その結果、検索順位の低下に繋がる可能性があります。最低限、中程度のサイトは作るようにしましょう。
ページスピードの向上方法については、コチラにも記載してあるので、よかったら参考にしてください。
分析3:ページの文字数はどれくらい?
以下は19サイトの文字数のグラフです。
結論(データから見えること)
1000文字未満のページは9サイト(47.4%)、1000文字以上のページは10サイト(52.6%)でした。また、平均は1523.7文字、中央値は1302.0文字、文字数と順位の相関係数はr=0.18でした。
データから見たSEOのポイント!
ランク22は5000文字を超える長文ページですが、それ以外は数百から3000文字程度のページが多いです。この結果から、トップページについては、それほど文字数を入れ込む必要はないでしょう。行政書士サイトは2000文字程度でトップページを作成することが適切だと言えます。
分析4:画像数はどれくらい?
以下は19サイトの文字数のグラフです。
結論(データから見えること)
画像が10個未満のページは11サイト(57.9%)、10以上のページは8サイト(42.1%)でした。また、平均は11.5枚、中央値は6.0枚、画像数と順位の相関係数はr=0.19でした。
データから見たSEOのポイント!
ランク22は63枚の画像数ですが、それ以外のサイトは10枚程度のサイトがが多いようです。行政書士先生の顔写真や、行政文書のスクリーンショットなどで10枚くらいを用意すると良いのではないでしょうか。
分析5:内部リンク・外部リンクの数はどれくらい?
以下は19サイトの内部リンクの数のグラフです。
続いて、外部リンクの数です。
結論(データから見えること)
内部リンクについては・・・10個未満のページは8サイト(42.1%)、10以上のページは11サイト(57.9%)でした。また、平均は33.2、中央値は16.0、内部リンクと順位の相関係数はr=0.27でした。
外部リンクについては・・・平均は1.6、中央値は0.0、外部リンクと順位の相関係数はr=-0.16でした。
データから見たSEOのポイント!
内部リンクについては、ランク22は188と突出してますね。それ以外は100未満です。内部リンクの数は中央値である16個を目安とし、行政書士に関する公文書申請サービスや料金プランの自サイトページへのリンクを設置するといいでしょう。
分析6:スマホ対応サイトはどれくらい?
以下は19サイトのスマホ対応状況です。
結論(データから見えること)
また、レスポンシブデザインに対応しているサイトが13件(68.4)%、非レスポンシブデザインのサイトが6件(31.6)%でした。
データから見たSEOのポイント!
スマホ対応が7割未満というのは、他の業界に比べても割と少なく、スマホ対応率は低い業界といえます。とはいえ、外国人などの就労ビザなど、若者向けの行政書士サービスも増えることを考えると、スマホ対応は早急に進めるべきでしょう。
分析7:キーワードの数はどれくらい?
以下は19サイトのタイトルへのキーワード「港区」が入っている個数の割合です。
続いて、メタネームディスクリプションに入っているキーワードの数です。
続いて、ページ内のキーワード「港区」の出現回数の分布です。
続いて、見出しであるH1〜H6に入っているキーワード「港区」の数です。
結論(データから見えること)
タイトル中のキーワード「港区」の出現回数については、キーワードの数が0個のサイトが7件(36.8)%、1個のサイトが12件(63.2)%でした。
メタネームディスクリプションの中のキーワード「港区」の出現回数については、キーワードの数が0個のサイトが11件(57.9)%、1個のサイトが8件(42.1)%でした。
ページ中のキーワード「港区」の出現回数については、また、平均は1.2文字、中央値は1.0文字、ページ数と順位の相関係数はr=-0.07でした。
ヘッダー(H2〜H6)の中のキーワード「港区」の出現回数については、キーワードの数が0個のサイトが11件(57.9)%、1個のサイトが8件(42.1)%でした。
データから見たSEOのポイント!
目安として、キーワードの使用回数は以下のように考えてみるといいでしょう。
- タイトルでのキーワードの使用回数:1回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数5回程度
エリア名(この場合「港区」)のキーワードの出現数は他の業界に比べかなり少ないですね。これは、SEO対策がそれほど行き届いていない業界であることが多いです。また、行政書士など士業全般にいえますが、堅い職業については、ドギツいSEOはやってない傾向がありますこう言った場合、他の業界の慣習に習ってキーワードを多く盛り込むと、Googleからペナルティを食う可能性もあるため、トップページのキーワードはほどほどに控えましょう。エリア名は全体で、5回程度で十分ですね
まとめ
以上、行政書士事務所におけるSEO対策について、港区を例にデータ分析の結果からポイントを見てきました。ぜひ、ここで紹介したデータをもとに、SEOについて取り組んでみてください。