こんにちは、デジタルボーイです。今回は、お問合せの多い、病院サイトに関する、SEO対策について、実際のサイトのデータ分析に基づいて解説したいと思います。
デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ
本記事の結論
コンサル的視点からのつぶやき・・・
サイトの特徴・・・他の業界に比べ、クリニック紹介サイトのようなポータルサイトが占める割合が非常に高い!(上位30サイト中50%はポータルサイト)です。これは、医療系のサイトは広告規制もあり、また、Googleにおける表示ルールの厳密化もあるため、個別サイトが上位表示されにくい傾向があるようです。Googleからのペナルティなどの可能性が非常に高い分野でもあるので、ページを作る際は、かりにブログ出会っても、できるだけエビデンスを明記し、客観的事実を重視したサイトづくりが重要です。
最近の業界の特徴・・・少子化や診療報酬の改定、人件費の高騰もあり、クリニックといえども収入減少の波は避けられないようです。そのため、自由診療や患者の利便性を追求したデジタル化など、経営面での取り組みは非常に重要といえます。
売上を伸ばすためのポイント・・・クリニックの差別化は非常に重要ですね。例えば、 特定の病気や治療法に特化していることをウェブサイトで、院長先生が患者に寄り添って、語りかけるようにページを作るといいでしょう。これによって、関連するキーワードでの検索順位が上がりやすくなります。また、 例えば、「働く女性向けの内科クリニック」など、特定の患者さんにフォーカスするのも一つの手ですね。また、オンライン診療や夜間診療など、患者さんにとって便利な仕組みを提供して、それをウェブサイトで強調するのも有効です。
病院SEO施策の優先順位を考える・・・病院サイトにおけるSEO対策は多岐にわたりますが、特に中小規模の病院ではリソースが限られていることも多いため、施策に優先順位をつけて取り組むことが重要です。例えば、まずはスマホ対応や表示速度の向上といったユーザー体験に直結する改善を優先するのが良いでしょう。次に、院長先生のメッセージや診療内容に関するページの文字数や画像数を充実させ、コンテンツの質を高めることに注力します。また、内部リンクの整理やキーワードの最適化は比較的短期間で結果が出やすい施策のため、これらも早期に着手することをおすすめします。施策を段階的に進めることで、病院サイトのSEO効果を着実に高め、患者さんにとって魅力的なサイトを構築していきましょう!
まずは、今回の分析結果の結論を以下にまとめます。時間のない方は、こちらだけでもぜひお読みください。
データから見た、病院SEOのポイント!(結論抜粋)
- サイト規模・・・クリニック紹介サイトなどのポータルサイトが50%を占め、SEO的には、厳しい戦いが予想されます。100ページ程度のサイト規模を目標とし、各ページでしっかりとしたSEO対策をする必要があります。
- トップページの表示速度・・・50−89点を第一の目標とし、さらには90点以上Sを目指しましょう。画像の軽量化を十分に検討することで、かなりの改善が期待できます。
- トップページの文字数・・・トップページを作る際は、文字数は中央値の1000文字程度を目安とし、トップページで、無闇に、文字数を増やすよりは、ページを分割し、わかりやすいサイト構成を目指しましょう。
- トップページの画像数・・・トップページでは、画像・動画等のイメージは20〜40枚程度盛り込むこととしましょう。クリニックの院長先生の顔写真はもちろん、クリニックの様子も患者にとって気になるポイントです。ページだけでも十分にクリニックの様子がわかるように写真を多く選びましょう。
- トップページのリンク・・・ページ構成として、トップページの他に、院長先生の思いや考え、プロフィール、クリニックの得意分野や診療のフローなど、患者さんにとって必要と思われる情報を確実に作り、それらページへのリンクをトップページで20〜50個程度は貼るようにしましょう。
- スマホ対応・・・ほぼ100%の院でスマホ対応を行なっています。今後新たにサイトを作る際は、スマホデザインと、PCデザイン、どちらもしっかりと対応したサイトを作りましょう。
- キーワード・・・キーワードの目安
- タイトルでのキーワードの使用回数:1~2回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数5回程度
データ集計結果
データの分析結果の抜粋です。
- ポータルサイトの割合・・・上位30サイト中、50%の15件
- ページ数・・・平均は184.9ページ、中央値は35.0ページ、ページ数と順位の相関係数はr=-0.21
- 表示速度・・・100点満点中、平均は45.7点、中央値は48.0点、ページ数と順位の相関係数はr=-0.2
- ページ文字数・・・平均は1420.3、中央値は1027.0、文字数と順位の相関係数はr=0.19
- 画像数・・・平均は15.4枚、中央値は17.0枚、画像数と順位の相関係数はr=-0.33
- 内部リンク数・・・平均20.0、中央値は18.0、内部リンクと順位の相関係数はr=0.04
- 外部リンク数・・・平均3.9、中央値は2.0、外部リンクと順位の相関係数はr=0.17
- スマホ対応・・・スマホ対応サイトが14件(93.3)%、非スマホ対応のサイトが1件(6.7)%
- タイトルに入っているキーワード・・・「上野駅」の数の割合はキーワードの数が0.0個のサイトが9件(60.0)%、1.0個のサイトが6件(40.0)%
- メタディスクリプションに入っているキーワード・・・「上野駅」の割合はキーワードの数が0.0個のサイトが10件(66.7)%、1.0個のサイトが5件(33.3)%
- コンテンツ内のキーワード・・・「上野駅」の数は平均は0.6回、中央値は0.0回、ページ数と順位の相関係数はr=0.32
- ヘッダー1-6に入っているキーワード・・・「上野駅」の割合はキーワードの数が0.0個のサイトが10件(66.7)%、1.0個のサイトが5件(33.3)%
調査方法
以下は、今回の分析に用いるデータの取得方法です。
- 調査対象キーワード:「上野駅 + 病院」
- データ収集方法:
- GoogleカスタムサーチAPI(公式ページ)により対象キーワードで上位30位のページURLを取得
- ページスピードについてはPageSpeedInsightsの結果データをAPIで取得。
- その他のページ内のSEO指標はページデータをPythonプログラミングにより分析。
「上野駅 + 病院」で上位サイトの特徴を調べてみた!
今回は上野駅を例に病院の検索上位30サイトの特徴をデータに基づいて調査し、病院がとるべきSEO対策を解説したいと思います。
キーワード「上野駅 + 病院」の上位30サイト
上位30サイトは次のとおりです。
30サイト中のポータルサイトの割合
上記30サイトの内、紹介サイトや業界協会サイトや自治体などのポータル系サイトの割合は次の通りです。
30サイト中、ポータルサイトの割合は50%の15件でした。これらサイトは今回の病院の個別サイトの直接の競合とは見なさないため、分析から除外し、以降は15件のデータで分析したいと思います。
分析1:上位サイトはどれくらいのページを制作している?
以下にポータルサイトをのぞいた15サイトのページ数のグラフを掲載します。
結論(データから見えること)
100ページ未満の小規模サイトは9サイト、100ページの中大規模サイトは6サイトであり、小規模サイトサイトが60.0%を占めていました。また、平均は184.9ページ、中央値は35.0ページ、ページ数と順位の相関係数はr=-0.21でした。
データから見たSEOのポイント!
上位30件の内、ポータルサイトは15件と、他の業種に比べポータルサイトの割合が50%というのは、圧倒的に高いです!ランキング10のサイト以外は、数十ページから百数ページ程度のサイト規模です。
クリニック紹介サイトなどのポータルサイトが50%を占め、SEO的には、厳しい戦いが予想されます。100ページ程度のサイト規模を目標とし、各ページでしっかりとしたSEO対策をする必要があります。
分析2:上位サイトの該当ページの表示速度はどれくらい?
以下は15サイトの該当ページのページスピードのグラフです。値は0〜100までを取り、100に近いほど「良い」という指標になります。なお、ページスピードについては、Googleが提供するWEBサイトのスピードを検査するための無料ツールであるPageSpeedInsightsをAPI接続し、取得しました(PageSpeedInsights公式ページへ)
また、ページスピードの結果を0-49を「低い」、50-89を「普通」、90-100を「高い」と区分けした場合の割合は以下となります。
結論(データから見えること)
該当ページのページスピードについては、100点満点中、平均は45.7点、中央値は48.0点、ページ数と順位の相関係数はr=-0.2でした。また、「0-49:低い」サイトが8件(53.3%)、「50-89:普通」サイトが6件(40.0%)、「90-100:高い」サイトが1件(6.7%)でした。
データから見たSEOのポイント!
0-49点が54%、50−89点が40%と、他の業界に比べ標準的かやや遅いページスピードの分布となっています。
50−89点を第一の目標とし、さらには90点以上Sを目指しましょう。画像の軽量化を十分に検討することで、かなりの改善が期待できます。
ページスピードの向上方法については、コチラにも記載してあるので、よかったら参考にしてください。
分析3:該当ページの文字数はどれくらい?
以下は15サイトの該当ページの文字数のグラフです。
結論(データから見えること)
該当ページの文字数については、1000文字未満のページは7サイト(46.7%)、1000文字以上のページは8サイト(53.3%)でした。また、平均は1420.3文字、中央値は1027.0文字、文字数と順位の相関係数はr=0.19でした。
データから見たSEOのポイント!
文字数の中央値は1060文字です。今回の該当ページの多くがトップページのため、トップページの文字数的には平均的な結果といえまう。
トップページを作る際は、文字数は中央値の1000文字程度を目安とし、トップページで、無闇に、文字数を増やすよりは、ページを分割し、わかりやすいサイト構成を目指しましょう。
分析4:画像数はどれくらい?
以下は、15サイトの該当ページの画像数のグラフです。
結論(データから見えること)
該当ページの画像が10個未満のページは7サイト(46.7%)、10以上のページは8サイト(53.3%)でした。また、平均は15.4枚、中央値は17.0枚、画像数と順位の相関係数はr=-0.33でした。
データから見たSEOのポイント!
画像数の中央値は13枚ですが、検索上位サイトは20〜40枚が多いです。クリニックの性質上、写真は重要な要素となるため、多めに盛り込むことが重要です。
トップページでは、画像・動画等のイメージは20〜40枚程度盛り込むこととしましょう。クリニックの院長先生の顔写真はもちろん、クリニックの様子も患者にとって気になるポイントです。ページだけでも十分にクリニックの様子がわかるように写真を多く選びましょう。
分析5:内部リンク・外部リンクの数はどれくらい?
以下は15サイトの該当ページの内部リンクの数のグラフです。
続いて、該当ページの外部リンクの数です。
結論(データから見えること)
- 内部リンクについては・・・10個未満のページは6サイト(40.0%)、10以上のページは9サイト(60.0%)でした。また、平均は20.0、中央値は18.0、内部リンクと順位の相関係数はr=0.04でした。
- 外部リンクについては・・・平均は3.9、中央値は2.0、外部リンクと順位の相関係数はr=0.17でした。
データから見たSEOのポイント!
内部リンクについては、中央値が19個です。内部リンクを全く貼っていないサイトがあることから、中央値は19となっていますが、そのようなサイトを省けば、20〜50個程度のリンクを貼っているサイトが多いです。
ページ構成として、トップページの他に、院長先生の思いや考え、プロフィール、クリニックの得意分野や診療のフローなど、患者さんにとって必要と思われる情報を確実に作り、それらページへのリンクをトップページで20〜50個程度は貼るようにしましょう。
分析6:スマホ対応サイトはどれくらい?
以下は15サイトのスマホ対応状況です。
結論(データから見えること)
また、スマホ対応に対応しているサイトが14件(93.3)%、非スマホ対応のサイトが1件(6.7)%でした。
データから見たSEOのポイント!
スマホ対応は93%以上であり、業界的にも標準かやや高い傾向です。
ほぼ100%の院でスマホ対応を行なっています。今後新たにサイトを作る際は、スマホデザインと、PCデザイン、どちらもしっかりと対応したサイトを作りましょう。
分析7:キーワードの数はどれくらい?
以下は15サイトの該当ページのタイトルへのキーワード「上野駅」が入っている個数の割合です。
続いて、該当ページのメタネームディスクリプションに入っているキーワードの数です。
続いて、該当ページ内のキーワード「上野駅」の出現回数の分布です。
続いて、該当ページの見出しであるH1〜H6に入っているキーワード「上野駅」の数です。
結論(データから見えること)
- タイトル中のキーワード「上野駅」の出現回数については、キーワードの数が0.0個のサイトが9件(60.0)%、1.0個のサイトが6件(40.0)%でした。
- メタネームディスクリプションの中のキーワード「上野駅」の出現回数については、キーワードの数が0.0個のサイトが10件(66.7)%、1.0個のサイトが5件(33.3)%でした。
- ページ中のキーワード「上野駅」の出現回数については、また、平均は0.6文字、中央値は0.0文字、ページ数と順位の相関係数はr=0.32でした。
- ヘッダー(H2〜H6)の中のキーワード「上野駅」の出現回数については、キーワードの数が0.0個のサイトが10件(66.7)%、1.0個のサイトが5件(33.3)%でした。
データから見たSEOのポイント!
目安として、キーワードの使用回数は以下のように考えてみるといいでしょう。
- タイトルでのキーワードの使用回数:1~2回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数5回程度
エリア名(この場合「上野」)をタイトルに0個のサイトは60%、1個のサイトは40%です。他の業界に比べ、エリア名を連発するようなサイトはかなり少なく、スマートなサイトが多いですね。エリア名はタイトルには1個とし、トップページ全体で3個程度としましょう。
まとめ
以上、クリニックにおけるSEO対策について、上野駅を例にデータ分析の結果からポイントを見てきました。クリニックは典型的なローカルSEO対策の必要なビジネスであり、ターゲットのエリアでの検索順位は問い合わせ件数にかなり影響されてしまいます。ぜひ、ここで紹介したデータをもとに、SEOについて取り組んでみてください。