こんにちは、デジタルボーイです。今回は、仕事で工務店のコンサルティングをする機会が多いこともあり、工務店向けのSEO対策について、実際のサイトのデータ分析に基づいて解説したいと思います。
デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ
本記事の結論
データから見た、工務店SEOのポイント!
- 競合サイトの中には、ページ数がそれほど豊富でないサイトもいることから、もし、サイト制作を考えている場合、100ページを目安につくることがおすすめ
- 他の業界に比べ、工務店のサイトのページスピードは遅い傾向がある。目安として70以上を目標に作ってみましょう。
- トップページの文字数は概ね1,000〜2000くらいでいいでしょう。
- 画像は目安として60くらい画像を掲載するといいのではないでしょうか
- トップページにおいて内部リンクを貼るようにページ構成をすることが重要と言えます。
- スマホ対応は必須と言えます。
- キーワード
- タイトルでのキーワードの使用回数:1回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数20〜30回程度
コンサル的視点から
最近の工務店の動向
日本の中小工務店は現在、少子化、コロナ禍、ウッドショック、物価高、人件費高騰で、今までになく、大変な局面にいるといっていいでしょう。このような中で、地方の工務店はその工務店独自の特徴を全面に出し、高いしているケースが多いです。例えば大手ハウスメーカーでは概ね、大量生産によって、使用する建築資材が近しいもののなか、中小工務店は、大工の技術によって、既製品ではない一品ものの、手作り建築資材(窓枠、床、造作キッチン、造作の棚など)で特徴を出している場合も多いですね。コンサル的には大手ハウスメーカーにはない、独自色というものを自分たちで意識し、顧客にPRすることが重要だと考えます。
工務店SEO対策の優先順位
工務店サイトのSEO施策を実行する際は、限られたリソースを効率よく使うために、優先順位をつけることが鍵となります。まずはスマホ対応やページ表示速度の向上といったユーザー体験に直結する項目から改善を進めるのがおすすめです。その後、トップページや主要ページのコンテンツを充実させ、画像数の増加や内部リンクの最適化を行うことで、サイト全体の価値を高めていきましょう。また、キーワードの配置を適切に行い、自然な形でエリア名やサービス内容を盛り込むことで、SEO効果を最大化できます。段階的かつ計画的に施策を実行することで、着実に検索順位を向上させることが可能です。
調査方法
以下は、今回の分析に用いるデータの取得方法です。
- 調査対象キーワード:「広島 工務店」
- データ収集方法:
- GoogleカスタムサーチAPI(公式ページ)により対象キーワードで上位30位のページURLを取得
- ページスピードについてはPageSpeedInsightsの結果データをAPIで取得。
- その他のページ内のSEO指標はページデータをPythonプログラミングにより分析。
「エリア+工務店」で上位サイトの特徴を調べてみた!
今回は中規模都市である広島を例に「広島+工務店」の検索上位30サイトの特徴をデータに基づいて調査し、工務店がとるべきSEO対策を解説したいと思います。
キーワード「広島+工務店」の上位30サイト
キーワード「広島+工務店」の上位30サイトは次のとおりです。
30サイト中のポータルサイトの割合
上記30サイトの内、紹介サイトや業界協会サイトや自治体などのポータル系サイトの割合は次の通りです。
30サイト中、ポータルサイトの割合は10%の3件でした。これらサイトは今回の工務店の直接の競合とは見なさないため、分析から除外し、以降は27件のデータで分析したいと思います。
分析1:上位サイトはどれくらいのページを制作している?
僕自身がSEOコンサルを行う場合、まず初めに注目するデータはライバルサイトのページ数です。というのも、これからそのキーワードで上位表示を目指しサイトを作ろうと思った場合、一般的なコーポレートサイトの構成である10ページ程度でいいのか、数百ページに及ぶ豊富なWEB記事を作らなければいけないのか、これによって、ホームページ制作予算が全く異なってくるためです。
そして、どれくらいのページ構成にすればいいのかの目安は、上位表示したいキーワードで実際に現在上位表示されているサイトのサイト構成やボリュームから見定めるのが一番だからです。
ということで、以下にポータルサイトをのぞいた27サイトのページ数のグラフを掲載します。
結論(データから見えること)
ざっとみると、100ページ未満のサイトは13サイト100〜500ページのサイトは6サイト、500ページ以上のサイトは8サイトであり、小規模サイトと大規模サイトが混在していますね。平均は513ページ、中央値は128ページでした。このデータからは、ページ数が100未満のサイトも上位10位までに4サイトあり、必ずしも大規模サイトを運営しなければならないというわけではなさそうです。ただし、上位5位までに入ろうと思うと、ポータルサイトとの競合もあるため、中央値である128ページ以上は欲しいところですね。
データから見た、工務店SEOのポイント!
競合サイトの中には、ページ数がそれほど豊富でないサイトもいることから、もし、サイト制作を考えている場合、100ページを目安に作ってみれば、SEOへの効果は十分に期待できそうです。ただし、あくまで、ページ一つひとつの品質が高いことが前提ですが。
分析2:上位サイトのページスピードはどれくらい?
続いて、上位サイトのページスピードをみていきましょう。ページの表示スピードもSEO的には重要な指標と言われています。ページスピードについては、Googleが提供するWEBサイトのスピードを検査するための無料ツールであるPageSpeedInsightsをAPI接続し、取得しました(PageSpeedInsights公式ページへ)。ちなみに、このサイトは無料でWEBサイトの表示スピードを検査し、問題点も指摘してくれる優れものなので、ぜひ、このツールを基準に高速化対策をやってみてください。
以下は27サイトのページスピードのグラフです。値は0〜100までを取り、100に近いほど「良い」という指標になります。
また、ページスピードの結果を0-49を「低い」、50-89を「普通」、90-100を「高い」と区分けした場合の割合は以下となります。
結論(データから見えること)
概ね、50未満と50以上が半々という結果でした。実際に平均値も48という結果でです。また、1位のサイトのスコアは29であり、低い結果になっています。この理由は、工務店のサイトは写真の掲載が多く、他のビジネスサイトに比べ重くなることが原因であると考えられます。
データから見た、工務店SEOのポイント!
他の業界に比べ、工務店のサイトのページスピードは遅い傾向があります。そのため、頑張って、ページスピードを上げてみると、SEOの効果は十便に期待できそうです。目安として70以上を目標に作ってみましょう。
ページスピードの向上方法については、コチラにも記載してあるので、よかったら参考にしてください。
分析3:ページの文字数はどれくらい?
続いて、ページの文字数を見ていきましょう。ページの文字数もSEO的には重要な指標と言われています。ただし、多い文字数は有利に働くことが多いのですが、それも競合との比較の話であり、絶対的に、〇〇文字以上なければならないというものではありません。なので、文字数についてはライバルサイトと比較し、少なくならない程度の文字数でいいでしょう。
以下は27サイトの文字数のグラフです。
ざっとみると、ランキングが4、13、19、28は3000文字を超えており極端に多いですが、それ以外は1000文字前後といったところでしょうか。平均は1500文字、中央値は624文字でした。
結論(データから見えること)
概ね、3000文字以上の極端なサイトを除けば、概ね1,000前後の文字数ですね。今回の27サイトではほぼ全てのサイトでトップページがヒットしています。また、工務店のトップページは画像やリンクが中心であり、それほど込み入った文字を必要としていないことから、1000程度の文字数だったんでしょうね。
データから見た、工務店SEOのポイント!
工務店のトップページの性質上、それほど文字数は必要ない。むしろ、画像や内部リンクが重要になってくる。トップページの文字数は概ね1,000〜2000くらいでいいでしょう。
分析4:画像数はどれくらい?
続いて、ページの画像数を見ていきましょう。画像については、全くないと文字ばかりで寂しい、ユーザーからも見られにくいページになってしまいますね。ただ、画像を準備するのも色々大変なので、ここら辺もライバルの画像数を参考に、調整するといいでしょう。
以下は27サイトの文字数のグラフです。
結果は、画像数の平均が28、中央値が24でした。そして、なんと画像数とランキングについては統計的な関係が見え、画像数が多ければ多いほど、ランキングが高いという結果が見られました!(ピアソンの相関係数r=-0.26で弱い負の相関がみられました)
結論(データから見えること)
ここで重要な点は、「像数とランキングについては統計的な関係が見え、画像数が多ければ多いほど、ランキングが高い」という結果ですね!
データから見た、工務店SEOのポイント!
工務店のトップページの性質上、画像は非常に重要。特に、画像数が多いほど、検索表示ランキングが高いという傾向も見られました。1位サイトは53のため、目安として60くらい画像を掲載するといいのではないでしょうか
分析5:内部リンク・外部リンクの数はどれくらい?
続いて、内部リンク・外部リンクの数を見ていきましょう。特に、今回はトップページがほとんどであり、文字数もそれほど多くないため、コンテンツの内容は主に「画像」+「リンク」と言えます。ここでは、サイト内のリンクである内部リンクとサイト外のリンクである外部リンクのそれぞれについて、見ていきましょう。
以下は27サイトの内部リンクの数のグラフです。
内部リンクが50個以上あるサイトは、6個であり、それ以外は50未満という結果ですね。平均は5、中央値は2でした。
続いて、外部リンクの数です。
ランキング4,17,28が20以上と多いですが、それ以外は20未満であり、ランキング1位のサイトは0と、外部リンクが全くないサイトも目立ちます。
結論(データから見えること)
データからは、ライバルサイトは外部リンクより内部リンクを充実させており、内部リンクを重視する戦略が有効そうですね!
データから見た、工務店SEOのポイント!
工務店のトップページの性質上、画像についでリンクは非常に重要なコンテンツ。特に内部リンクは上位サイトで多い傾向がある。作成したページはできるだけ、トップページにおいて内部リンクを貼るようにページ構成をすることが重要と言えます。
分析6:スマホ対応サイトはどれくらい?
現在、インターネットで調べ物をする際、多くの人はスマホ使っていることもあり、サイトのスマホ対応はどんどん進んでいます。SEOにおいても、スマホ対応は重要な指標と言われています。
今回調査したサイトのスマホ対応状況はどの程度進んでいるのでしょうか?
以下は27サイトのスマホ対応状況です。
なんと、8割以上がスマホ対応しているという結果でした!
結論(データから見えること)
データからは、ライバルサイトはなんと、8割以上がスマホ対応しているという結果でしたね。
データから見た、工務店SEOのポイント!
スマホ対応は必須と言えます。まだ、スマホ対応していない場合、ぜひ、早急にサイトのリニューアルを検討してください。
分析7:キーワードの数はどれくらい?
コンテンツの中にキーワードを盛り込むことは、SEO的に非常に重要です。ただし、盛り込めすぐればいいかということではなく、不自然に多くすることで、かえってGoogleからはペナルティを食らうリスクが生まれます。
そのため、他社サイトのキーワード出現状況を見ながら、多すぎず、少なすぎず、バランスを見ることが重要そうですね。
以下は27サイトのタイトルへのキーワード「広島」が入っている個数の割合です。
1回というのが一番多く44%でした。
続いて、メタネームディスクリプションに入っているキーワードの数です。
こちらも、1回というのが一番多く44%でした。
続いて、ページ内のキーワード「広島」の出現回数の分布です。
ランキング13だけが吐出して多く、それ以外は20前後ですね。
続いて、見出しであるH1〜H6に入っているキーワード「広島」の数です。
こちらは13が吐出して多いですね。また、ランキング1位は15となっています。
結論(データから見えること)
工務店のトップページという性質上、キーワード自体はそれほど多く出現していない傾向が見られました。
データから見た、工務店SEOのポイント!
目安として、キーワードの使用回数は以下のように考えてみるといいでしょう。
- タイトルでのキーワードの使用回数:1回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数20〜30回程度
また、ランキング1位のサイトのみ、キーワードを十分にヘッダーで使用しているため、同じように、キーワードはヘッダーでも十分に利用するとSEO的に効果的であると考えられます。
まとめ
以上、工務店におけるSEO対策について、データ分析の結果からポイントを見てきました。ただし、今回はエリアを「広島」で実施したため、あなたのエリアでそのまま使えるわけではない点に注意してください。とは言え、おおまかな傾向を掴むには良いデータだったと思います。ぜひ、みなさんのSEO対策にも活用してみてください。