こんにちは、デジタルボーイです。今回は、お問合せの多い、製造サイトに関する、SEO対策について、実際のサイトのデータ分析に基づいて解説したいと思います。
デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ
本記事の結論
コンサル的視点からのひとりごと・・・
サイトの特徴・・・かなりデザイン的に凝ったおしゃれなサイトと、一昔前のPCデザインサイトの2局化されている傾向がありました。ただし、コンサル的には製造業者はシンプルでみやすいサイトに徹するべきだと考えています。理由は、サイトの目的は専門業者の閲覧、来社されるお客様のアクセスの確認、就職希望者の求人確認などが多いことが予想され、この場合、デザイン的にこったものはあまり意味がなく、また、ページ導線の悪いサイトは利便性の低下があるためです。
また、上記の理由から、スマホ対応もやるべきでしょう。中には「お客さんは100%企業なんだからPC対応だけでいい」と思われるかもしれませんが、客先の営業マンや納品担当者、あるいは、求職者が来社する際のアクセスの確認にも使われることを考えると、スマホ対応していなければ、かなり不便でしょう。
最近の業界の特徴・・・事業再構築補助金やものづくり補助金など国の補助金などを活用し、中小企業でも最新の製造設備を整え、省力化、省人化に成功している企業は多くあります。また、3D-CADを導入し、自社で設計をすることで、単なるものづくりだけの下請けだけでなく、製品開発工程にも参入できる力を持った中小製造業も増えてきています。ただし、最新機材や3D-CADは機材やソフトウェアを購入すればそれで使えるかというと、そういうものではなく、それらを操作できる人材が必要不可欠です。そのような高度な技術をもつ人材の確保が中小製造業の成長の鍵と言えるでしょう。
売上を伸ばすためのポイント・・・中小製造業者は、現在、人手不足や人件費の高騰がかなり深刻ですね。そのため、求職者にアピールするために自社サイトを運営している企業も非常に増えています。このため、一昔前の暗くて狭くて汚い工場から、「整理・整頓・清掃・清潔・しつけ」の5Sをしっかりと取り組んでいる企業が、町工場でもかなり増えています。綺麗に整備された工場をしっかりと写真にとり、自社サイトに掲載することは、求人の面でも、顧客満足度の面からも有効です。また、自社で製造した製品や最新設備については、できるだけ自社サイトに掲載し、PRすることが重要でしょう。
製造業者のSEO施策のポイント・・・製造業者のサイトにおけるSEO対策は、結構、多岐にわたる施策が必要ですが、中小企業では限られたメンバーということもあり、SEO的にやらないといけないことも、全てを一度に行うのは難しいでしょう。なので、コンサル的には優先順位を付けて取り組むことが重要と考えます!例えば、まずはスマホ対応や表示速度の向上といったユーザー体験に直結する改善を優先し、次に文字数や画像数の充実、リンクの最適化といったコンテンツ面の強化に取り組むと良いでしょう。また、キーワードの配置や内部リンクの見直しは比較的短期間で効果を実感できるため、これらも早期に着手することをおすすめします。戦略的に段階を踏んでSEOを実行することで、ちょっとづつ、確実に、効率的に成果を上げることが可能です!
このような取り組みに加え、製造業者に特化したSEO対策も非常に重要になってきます。以下では、製造業に特化したSEO対策について解説しています。
まずは、今回の分析結果の結論を以下にまとめます。時間のない方は、こちらだけでもぜひお読みください。
データから見た、製造SEOのポイント!(結論抜粋)
- サイト規模・・・ポータルサイトの件数が低いため、企業紹介サイトに頼らず自社サイトを運営する価値は十分にあります。上位サイトは50ページ以上のサイト規模が多いため、ここら辺を一つの目標としましょう。
- トップページの表示速度・・・90点以上の高速サイトもあるため、50−89点は必須といえます。工場設備や製品の写真は十分に使いながらも、軽量化対策をしっかりとするといいでしょう。
- トップページの文字数・・・自社の得意な製造分野や製品について、1,000〜2,000文字でしっかりと記載しましょう
- トップページの画像数・・・トップページでは、画像を30枚程度掲載しましょう。写真の内容は、自社のもっとも得意とする製造分野の工程写真、製品、設備などでいいでしょう。
- トップページのリンク・・・企業概要、問い合わせ、求人などのページだけでなく、自社製造設備、製造工程、製品、得意分野などのページを準備し、しっかりとトップページからリンクを貼るようにしましょう。
- スマホ対応・・・中小製造業においては、ほぼ100%がBtoBであり企業向けサイトであるため、PCサイトが多いでしょう。ただし、自社サイトは自社に来社される担当者や営業マンや納品業者も利用する可能性や、求人のための利用もあるため、スマホ対応はやっておくべきです。
- キーワード・・・キーワードの目安
- タイトルでのキーワードの使用回数:1回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数5回程度
データ集計結果
データの分析結果の抜粋です。
- ポータルサイトの割合・・・上位30サイト中、10%の3件
- ページ数・・・平均は61.2ページ、中央値は40.0ページ、ページ数と順位の相関係数はr=0.19
- 表示速度・・・100点満点中、平均は49.9点、中央値は52.0点、ページ数と順位の相関係数はr=0.05
- ページ文字数・・・平均は986.2、中央値は769.0、文字数と順位の相関係数はr=0.25
- 画像数・・・平均は15.3枚、中央値は9.0枚、画像数と順位の相関係数はr=0.18
- 内部リンク数・・・平均17.2、中央値は9.0、内部リンクと順位の相関係数はr=0.29
- 外部リンク数・・・平均1.6、中央値は1.0、外部リンクと順位の相関係数はr=-0.13
- スマホ対応・・・スマホ対応サイトが22件(81.5)%、非スマホ対応のサイトが5件(18.5)%
- タイトルに入っているキーワード・・・「大阪」の数の割合はキーワードの数が0個のサイトが11件(40.7)%、1個のサイトが15件(55.6)%、2個のサイトが1件(3.7)%
- メタディスクリプションに入っているキーワード・・・「大阪」の割合はキーワードの数が0個のサイトが14件(51.9)%、1個のサイトが12件(44.4)%、2個のサイトが1件(3.7)%
- コンテンツ内のキーワード・・・「大阪」の数は平均は1.9回、中央値は1.0回、ページ数と順位の相関係数はr=0.11
- ヘッダー1-6に入っているキーワード・・・「大阪」の割合はキーワードの数が0個のサイトが14件(51.9)%、1個のサイトが12件(44.4)%、2個のサイトが1件(3.7)%
調査方法
以下は、今回の分析に用いるデータの取得方法です。
- 調査対象キーワード:「大阪 + 製造」
- データ収集方法:
- GoogleカスタムサーチAPI(公式ページ)により対象キーワードで上位30位のページURLを取得
- ページスピードについてはPageSpeedInsightsの結果データをAPIで取得。
- その他のページ内のSEO指標はページデータをPythonプログラミングにより分析。
「大阪 + 製造」で上位サイトの特徴を調べてみた!
今回は大阪を例に製造の検索上位30サイトの特徴をデータに基づいて調査し、製造がとるべきSEO対策を解説したいと思います。
キーワード「大阪 + 製造」の上位30サイト
上位30サイトは次のとおりです。
30サイト中のポータルサイトの割合
上記30サイトの内、紹介サイトや業界協会サイトや自治体などのポータル系サイトの割合は次の通りです。
30サイト中、ポータルサイトの割合は10%の3件でした。これらサイトは今回の製造の個別サイトの直接の競合とは見なさないため、分析から除外し、以降は27件のデータで分析したいと思います。
分析1:上位サイトはどれくらいのページを制作している?
以下にポータルサイトをのぞいた27サイトのページ数のグラフを掲載します。
結論(データから見えること)
100ページ未満の小規模サイトは22サイト、100ページの中大規模サイトは5サイトであり、小規模サイトサイトが81.5%を占めていました。また、平均は61.2ページ、中央値は40.0ページ、ページ数と順位の相関係数はr=0.19でした。
データから見たSEOのポイント!
上位30件の内、ポータルサイトは3件と、他の業種に比べポータルサイトの割合が10%というのは、圧倒的に低いです!また、ページ数の中央値は40ページです。
ポータルサイトの件数が低いため、企業紹介サイトに頼らず自社サイトを運営する価値は十分にあります。上位サイトは50ページ以上のサイト規模が多いため、ここら辺を一つの目標としましょう。
分析2:上位サイトの該当ページの表示速度はどれくらい?
以下は27サイトの該当ページのページスピードのグラフです。値は0〜100までを取り、100に近いほど「良い」という指標になります。なお、ページスピードについては、Googleが提供するWEBサイトのスピードを検査するための無料ツールであるPageSpeedInsightsをAPI接続し、取得しました(PageSpeedInsights公式ページへ)
また、ページスピードの結果を0-49を「低い」、50-89を「普通」、90-100を「高い」と区分けした場合の割合は以下となります。
結論(データから見えること)
該当ページのページスピードについては、100点満点中、平均は49.9点、中央値は52.0点、ページ数と順位の相関係数はr=0.05でした。また、「0-49:低い」サイトが12件(44.4%)、「50-89:普通」サイトが12件(44.4%)、「90-100:高い」サイトが2件(7.4%)でした。
データから見たSEOのポイント!
0-49点が46%、50−89点が46%と、他の業界に比べ標準的かやや早いページスピードの分布となっています。
90点以上の高速サイトもあるため、50−89点は必須といえます。工場設備や製品の写真は十分に使いながらも、軽量化対策をしっかりとするといいでしょう。
ページスピードの向上方法については、コチラにも記載してあるので、よかったら参考にしてください。
分析3:該当ページの文字数はどれくらい?
以下は27サイトの該当ページの文字数のグラフです。
結論(データから見えること)
該当ページの文字数については、1000文字未満のページは17サイト(63.0%)、1000文字以上のページは10サイト(37.0%)でした。また、平均は986.2文字、中央値は769.0文字、文字数と順位の相関係数はr=0.25でした。
データから見たSEOのポイント!
文字数の中央値は760文字です。ただし、上位サイトは1,000〜2,000文字が多く存在します。トップページにあまり文字のないサイトもよくありますが、製造業については、しっかりと書く必要がありそうです。
自社の得意な製造分野や製品について、1,000〜2,000文字でしっかりと記載しましょう
分析4:画像数はどれくらい?
以下は、27サイトの該当ページの画像数のグラフです。
結論(データから見えること)
該当ページの画像が10個未満のページは14サイト(51.9%)、10以上のページは13サイト(48.1%)でした。また、平均は15.3枚、中央値は9.0枚、画像数と順位の相関係数はr=0.18でした。
データから見たSEOのポイント!
画像数の中央値は9枚でした。ただし、検索上位サイトは10〜50枚が多いです。画像の内容は、製品、製造設備、工場内の様子などが多いです。
トップページでは、画像を30枚程度掲載しましょう。写真の内容は、自社のもっとも得意とする製造分野の工程写真、製品、設備などでいいでしょう。
分析5:内部リンク・外部リンクの数はどれくらい?
以下は27サイトの該当ページの内部リンクの数のグラフです。
続いて、該当ページの外部リンクの数です。
結論(データから見えること)
- 内部リンクについては・・・10個未満のページは14サイト(51.9%)、10以上のページは13サイト(48.1%)でした。また、平均は17.2、中央値は9.0、内部リンクと順位の相関係数はr=0.29でした。
- 外部リンクについては・・・平均は1.6、中央値は1.0、外部リンクと順位の相関係数はr=-0.13でした。
データから見たSEOのポイント!
内部リンクについては、中央値が9個です。自社の製品ページ、求人ページ、会社概要ページなどへのリンクが多いです。
企業概要、問い合わせ、求人などのページだけでなく、自社製造設備、製造工程、製品、得意分野などのページを準備し、しっかりとトップページからリンクを貼るようにしましょう。
分析6:スマホ対応サイトはどれくらい?
以下は27サイトのスマホ対応状況です。
結論(データから見えること)
また、スマホ対応に対応しているサイトが22件(81.5)%、非スマホ対応のサイトが5件(18.5)%でした。
データから見たSEOのポイント!
スマホ対応は81%以上であり、業界的にはやや少ない傾向です。
中小製造業においては、ほぼ100%がBtoBであり企業向けサイトであるため、PCサイトが多いでしょう。ただし、自社サイトは自社に来社される担当者や営業マンや納品業者も利用する可能性や、求人のための利用もあるため、スマホ対応はやっておくべきです。
分析7:キーワードの数はどれくらい?
以下は27サイトの該当ページのタイトルへのキーワード「大阪」が入っている個数の割合です。
続いて、該当ページのメタネームディスクリプションに入っているキーワードの数です。
続いて、該当ページ内のキーワード「大阪」の出現回数の分布です。
続いて、該当ページの見出しであるH1〜H6に入っているキーワード「大阪」の数です。
結論(データから見えること)
- タイトル中のキーワード「大阪」の出現回数については、キーワードの数が0個のサイトが11件(40.7)%、1個のサイトが15件(55.6)%、2個のサイトが1件(3.7)%でした。
- メタネームディスクリプションの中のキーワード「大阪」の出現回数については、キーワードの数が0個のサイトが14件(51.9)%、1個のサイトが12件(44.4)%、2個のサイトが1件(3.7)%でした。
- ページ中のキーワード「大阪」の出現回数については、また、平均は1.9文字、中央値は1.0文字、ページ数と順位の相関係数はr=0.11でした。
- ヘッダー(H2〜H6)の中のキーワード「大阪」の出現回数については、キーワードの数が0個のサイトが14件(51.9)%、1個のサイトが12件(44.4)%、2個のサイトが1件(3.7)%でした。
データから見たSEOのポイント!
目安として、キーワードの使用回数は以下のように考えてみるといいでしょう。
- タイトルでのキーワードの使用回数:1回
- メタネームディスクリプションでのキーワード使用回数:1回
- ページ全体でのキーワード使用回数5回程度
エリア名(この場合「大阪」)をタイトルに0個のサイトは40%、1個のサイトは56%です。他の業界に比べ、エリア名をタイトルに入れていないサイトが多いようです。エリア名はタイトルには1個をいれ、トップページ全体で5個程度入れるようにしましょう。
まとめ
以上、製造業者におけるSEO対策について、大阪を例にデータ分析の結果からポイントを見てきました。ぜひ、ここで紹介したデータをもとに、SEOについて取り組んでみてください。