こんにちは、デジタルボーイです。普段はクライアントのAI開発、データ分析、中小企業コンサルを仕事としていますが、クライアントのご要望に応じて補助金申請のご支援もしています。補助金事務局のコーディネータや精度内部にも関わっていた経験からしっかりと補助金について解説したいと思います!

デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです(元SAS institute japan データサイエンティスト)。中小企業診断士として、AI開発、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティング、補助金支援の仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ
「この設備、もの補助で買えますか?」
ものづくり補助金の相談で、一番多い質問がこれです。社長さんたちは欲しい設備がもう決まっていることがほとんど。「ものづくり補助金って何?」から始まるのではなく、「この設備に使えるかどうか」が最大の関心事なんですよね。
でも、ここで補助対象経費のルールをちゃんと理解しておかないと、せっかく採択されても交付申請の段階で減額されたり、対象外にされたりします。それは本当にもったいない。
この記事では、ものづくり補助金(第23次公募)の補助対象経費について、制度のルールだけでなく、支援の現場でよくあるつまずきや勘違いも含めて、全区分をまるっと解説します。
この記事でわかること:
- 補助対象経費の大前提となる基本ルール
- 全経費区分の内容と注意点
- 現場でよくある「対象外」の勘違い
- 見積り・支払いで失敗しないためのポイント
まず押さえるべき大前提|補助対象経費の基本ルール
経費区分の詳細に入る前に、どの経費にも共通する基本ルールを押さえておきましょう。ここを知らないと、後からひっくり返ることがあります。
設備投資が必須
ものづくり補助金では、単価50万円(税抜)以上の機械装置等を取得することが必須です。これがないとそもそも申請できません。
経費の上限ルール
機械装置・システム構築費以外の経費(外注費、専門家経費など)は、合計で500万円(税抜)までが上限です。グローバル枠の場合は1,000万円まで。メインはあくまで設備投資であって、それ以外の経費はサブ的な位置づけなんですよね。
交付決定前の購入は一切NG
これ、本当に大事なので強調しますが、交付決定日より前に発注・契約・購入した経費は、いかなる理由があっても補助対象外です。
交付決定日よりも前に発注・契約・購入を行った経費はいかなる理由があっても補助対象外となります。
――ものづくり補助金 公募要領(第23次公募) p.20
ここで「採択=交付決定」ではないことに注意してください。実際の流れはこうなっています。
| ステップ | 内容 |
|---|---|
| ①採択発表 | 補助金交付候補者として選ばれる |
| ②交付申請 | 経費の詳細を事務局に提出 |
| ③経費の精査 | 事務局が経費の妥当性を確認(ここで減額もあり得る) |
| ④交付決定 | 正式に補助金の交付が決まる |
| ⑤補助事業開始 | ここから初めて発注・契約・購入ができる |
| ⑥補助事業終了 | 期間内にすべての納品・検収・支払いを完了 |
| ⑦実績報告・確定検査 | 事務局が経費の使い方を確認 |
| ⑧補助金の振込 | ようやく補助金が入金される |
つまり、採択されてからさらに交付申請→精査→交付決定という段階を経て、やっと買い物ができるわけです。「採択されたから早速発注しよう!」は完全にアウト。ここで引っかかる事業者さん、実は少なくないんです。
支払いは銀行振込が原則
補助対象経費の支払いは銀行振込で行い、振込明細を証拠として保管する必要があります。クレジットカード払いは後々面倒になるのでおすすめしません。振込代行サービスや手形払いも認められません。
必ず振込で実施して、振込控えはしっかり保管しておいてください。
その他の基本ルール
- 補助対象経費(税抜)は、事業に要する経費(税込)の2/3以上であること
- 消費税は補助対象経費から除外して算定
- 単価50万円(税抜)以上の物件は、原則2者以上から同一条件で見積りを取得
経費区分の全体像
まず全体を見渡しましょう。ものづくり補助金で使える経費区分は以下のとおりです。
| 経費区分 | 上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 機械装置・システム構築費 | ― | 必須。50万円以上の設備投資が必要 |
| 技術導入費 | 補助対象経費総額の1/3 | |
| 専門家経費 | 補助対象経費総額の1/2 | |
| 運搬費 | ― | |
| クラウドサービス利用費 | ― | |
| 原材料費 | ― | |
| 外注費 | 補助対象経費総額の1/2 | |
| 知的財産権等関連経費 | 補助対象経費総額の1/3 | |
| 海外旅費 | 補助対象経費総額の1/5 | グローバル枠(輸出)のみ |
| 通訳・翻訳費 | ― | グローバル枠(輸出)のみ |
| 広告宣伝・販売促進費 | 補助対象経費総額の1/2 | グローバル枠(輸出)のみ |
正直に言うと、ほぼ100%の事業者さんが「機械装置・システム構築費」をメインに使います。他の区分はあくまで補助的なもの。なので、まずはこの区分をしっかり理解することが最優先です。
機械装置・システム構築費|これがないと始まらない
ものづくり補助金の中核となる経費区分です。この区分がゼロだと申請すらできません。
対象になるもの
- 専ら本事業のために使用される機械・装置、工具・器具(測定工具・検査工具等)の購入、製作、借用
- 専ら本事業のための専用ソフトウェア・情報システムの購入・構築、借用
- 上記と一体で行う改良・修繕・据付け
ポイントは「専ら本事業のために使用される」という部分。他の事業と兼用する汎用的な設備は対象になりません。
スクラッチ開発もOK
意外と知られていないのですが、既成ソフトだけでなくスクラッチ開発(ゼロからのシステム開発)も対象です。自社の業務にぴったり合ったシステムを開発したいという場合にも使えます。
ただし、スクラッチ開発には特有のリスクがあります。
- 補助事業期間内に開発→納品→支払いまで完了する必要がある。「今から仕様を決めます」だとかなりタイト
- 後からの金額変更や仕様変更は原則NG。補助金は交付決定時の計画に基づいて経費を管理するので、開発途中で「やっぱりこの機能も追加で…」は通りません
- 本当に期間内に作りきれるか、SIerの開発力を見極めることが重要
システム構築費については、採択後に仕様書等の価格妥当性を検証できる書類の提出を求められることもあります。見積書だけでなく、仕様書もしっかり作り込んでおきましょう。
リース・レンタルも対象
「借用」、つまりリース・レンタルも補助対象です。ただし、交付決定後に契約したもので、補助事業実施期間中に要する経費のみが対象。契約期間が補助事業実施期間を超える場合は、按分で計算された期間分のみとなります。
中古設備は原則おすすめしない
制度上、中古設備も3者以上の中古品流通事業者から型式・年式が記載された相見積もりを取得していれば対象になります。
ただ、正直に言うと私は中古設備での申請はおすすめしていません。
理由はシンプルで、同一製品であることを証明するのがかなり難しいんです。中古品は状態もバラバラだし、3者から見積もりを取ること自体のハードルも高い。せっかく補助金を使うのだから、新品を購入する前提で計画を組んだほうが無難ですね。
こんなものは対象外!
機械装置・システム構築費でよく勘違いされるのが以下です。
- 汎用PC・タブレット・スマートフォン → 対象外。たとえシステムの操作に使うPCであっても、汎用品はダメです
- 車両(公道を走るもの) → 対象外
- 設置場所の整備工事・基礎工事 → 対象外。据付けは「設置場所への固定」など軽微なもののみ
- 工場のリフォーム・改修費 → 対象外
実際に交付申請の段階で、システム一式の中に操作用のPCが含まれていて、その部分だけ削られたというケースがあります。見積書の明細にPCが入っていると、事務局のチェックで弾かれるんです。
ただ、基本的には全部がダメになるというよりも、見積もり明細の一部がカットされるケースがほとんどなので、そこまで恐れる必要はありません。ダメな部分は素直にカットして、それ以外の部分でしっかり補助を受ければいいだけです。
技術導入費・知的財産権等関連経費
技術導入費(上限:補助対象経費総額の1/3)
本事業の実施に必要な知的財産権等の導入に要する経費です。他社が持っている特許のライセンスを受ける場合などが該当します。
- 書面による契約の締結が必要
- 技術導入費の支出先には、専門家経費・外注費を併せて支払うことはできない
知的財産権等関連経費(上限:補助対象経費総額の1/3)
新製品・新サービスの事業化にあたって必要な特許権等の取得に要する弁理士の手続代行費用や、外国特許出願のための翻訳料等が対象です。
- 本事業の成果に係る発明等であること(既存の特許の維持費等は対象外)
- 補助事業実施期間内に出願手続きを完了していること
- 日本の特許庁に納付する手数料(出願料、審査請求料等)は対象外
- 国際規格認証の取得に係る経費は対象
正直、この2つの区分を使うケースはそこまで多くありません。特許がらみの事業計画を持っている方は押さえておいてください。
専門家経費|ここは要注意
本事業の実施のために依頼した専門家に支払われる経費です(上限:補助対象経費総額の1/2)。
謝金単価の上限
| 専門家 | 上限(1日・税抜) |
|---|---|
| 大学教授、弁護士、弁理士、公認会計士、医師 | 5万円 |
| 大学准教授、技術士、中小企業診断士、ITコーディネータ | 4万円 |
コンサルティング業務も対象で、製品・サービスのセキュリティ設計に関するアドバイスなども含まれます。
絶対にやってはいけないこと
ここで声を大にして言いたいのが、申請時に活用した事業計画書作成支援者は、専門家経費の補助対象外だということ。
申請時に活用した事業計画書作成支援者は、専門家経費の補助対象外とします。
――公募要領 p.24
つまり、「計画書を書いてくれたコンサルの費用を専門家経費で落とそう」は絶対にNGです。
これ、たまにコンサル側から「専門家経費に盛り込みましょう」と提案してくるケースがあるんですが、ダメなものはダメです。こういう提案をしてくるコンサルには注意してください。
外注費|使い勝手が良いが制約も多い
新製品・新サービスの開発に必要な加工・設計・検査等の一部を外注する場合の経費です(上限:補助対象経費総額の1/2)。
基本ルール
- 書面による契約の締結が必要
- 機械装置等の製作を外注する場合は「機械装置・システム構築費」に計上
- 外注先が機械装置等の設備を購入する費用は対象外
- 過去1年間にものづくり補助金で補助事業を実施した事業者を外注先にすることは不可
セキュリティ対策の外注も対象
意外と知られていませんが、本事業で開発した新製品・新サービスに対するペネトレーションテスト(侵入テスト)や脆弱性診断の外注費も対象です。ただし、市販のウイルスソフトの購入費は対象外です。
その他の経費|運搬費・クラウドサービス利用費・原材料費
運搬費
運搬料、宅配・郵送料等が対象です。なお、購入時の機械装置の運搬料は「機械装置・システム構築費」に含めるので、ここに計上しないよう注意してください。
クラウドサービス利用費
専ら本事業のためのクラウドサービスやWEBプラットフォームの利用費が対象です。
対象になるもの:
- サーバーの領域を借りる費用
- サーバー上のサービスを利用する費用
- ルータ使用料・プロバイダ契約料・通信料等(本事業に必要な最低限のもの)
対象にならないもの:
- 自社の他事業と共有する場合
- サーバー購入費・サーバー自体のレンタル費
- パソコン・タブレット・スマートフォンの本体費用
ここでもやっぱり汎用品は対象外なんですよね。
原材料費
試作品の開発に必要な原材料・副資材の購入費です。
- 数量は必要最小限にとどめ、補助事業実施期間終了日までに使い切ることが原則
- 未使用残存品は補助対象外
- 受払簿(任意様式)を作成し、受払いを明確にする必要あり
グローバル枠だけの経費区分
グローバル枠のうち海外市場開拓(輸出)に関する事業のみ、以下の経費区分が使えます。
海外旅費(上限:補助対象経費総額の1/5)
海外渡航及び宿泊等に要する経費です。
- 一度の渡航で事業者3名まで(専門家・通訳者が同行する場合は+2名まで)
- 1人あたり最大50万円が限度
- 交付申請時に海外渡航の計画をあらかじめ申請する必要あり
通訳・翻訳費
広告宣伝・販売促進に必要な翻訳のみが対象です。
広告宣伝・販売促進費(上限:補助対象経費総額の1/2)
海外展開に必要な広告宣伝や販売促進に要する経費です。
絶対に知っておくべき「補助対象外」の経費
ここは一番大事なセクションかもしれません。「何に使えるか」よりも「何に使えないか」を先に知っておくことが、余計な手戻りを防ぐコツです。
よくある勘違いトップ5
1. PCやタブレット等の汎用品
「設備を動かすのにPC必要なんですけど…」という気持ちはわかります。でも汎用品はダメなんです。実際に、システム一式の見積書の中にPCが入っていて、交付申請時にその分だけカットされたケースがあります。
2. 工場のリフォーム・改修費
「新しい機械を入れるにはフロアを整備しないと…」という話は本当によく聞きます。でもこれは補助対象外。機械装置の設置と一体の軽微な据付け(固定等)はOKですが、設置場所の整備工事や基礎工事は含まれません。
3. 商品の仕入れ
新製品開発のための原材料費は対象ですが、販売するための商品の仕入れは対象外です。
4. メンテナンス費用
設備購入時にオプションで5年分のメンテナンス契約を付ける、というケースがありますが、メンテナンス費用は補助対象外です。実際に事務局のチェックで弾かれた経験があります。補助事業実施期間内の経費に限られるので、将来のメンテナンス費は計上できません。
5. 発電設備・太陽光パネル等
FIT・FIPなどの公的制度を活用するかどうかに関わらず、発電設備及び付属設備(ソーラーパネル等)は補助対象外です。自己消費目的でも同様です。
その他の対象外経費
- 車両(公道を走るもの)
- 不動産の購入・賃借料
- 公租公課(消費税等)
- 光熱水費、通信費(クラウドサービス利用費に含まれる最低限のものを除く)
見積りと支払いで失敗しないために
見積りのルール
単価50万円(税抜)以上の物件は、原則として2者以上から同一条件の見積りを取る必要があります。
相見積もりが取れない場合はどうするか?それは仕方がないので、その企業を随意契約先とする理由書を提出すれば大丈夫です。特殊な設備で代替品がない場合などは、理由をきちんと書けば認められます。
ただし注意してほしいのが、まだ開発できていない受注生産品や開発段階のもので金額がぶれる可能性があるケース。これは見積りとして確定できないため、申請が難しくなります。見積り段階である程度金額が固まっている設備を選ぶのが無難です。
補助金は「後払い」という現実
ここは前回の概要記事でも触れましたが、改めて強調しておきます。
補助金は先にもらえるわけではありません。
全額を自分で支払い、事業を完了させ、確定検査を経て、ようやく補助金が振り込まれます。つまり、設備投資の資金はいったん全額を自己負担(または借入)する必要があるんです。
経験上、30名以下の中小企業では投資規模500万〜2,000万円がしっくりくるケースが多いです。100〜200万円だと計画がどうしても薄くなりますし、それ以上の大きな金額になると金融機関からの借入が必要になります。債務超過の状態だと融資を受けること自体がかなり厳しくなるので、資金繰りの見通しを立ててから申請することが大切です。
まとめ|補助対象経費で失敗しないために
補助対象経費について、全区分を網羅的に解説しました。最後にポイントを整理します。
- 機械装置・システム構築費が中核。ほぼ100%の事業者がこの区分をメインに使う
- 汎用PC・工場改修費・メンテナンス費用・車両などは対象外
- 交付決定前の購入は一切NG。採択≠交付決定であることに注意
- 支払いは銀行振込が原則。カード払いは避ける
- 中古設備は制度上可能だが、実務的には新品がおすすめ
- 専門家経費で計画書作成支援者の費用を落とすのは絶対NG
- スクラッチ開発は期間内完了と仕様固定が大前提
小手先のテクニックでどうにかなるものではありません。必要な装置を洗い出して、正々堂々と申請するのが一番です。仮にダメな経費が混じっていても、その部分だけカットされるだけ。全部がひっくり返るわけではないので、そこは安心してください。
ただ、経費の区分や見積りのルールは細かいので、不安な方は専門家に相談することをおすすめします。交付申請時に「これは対象外です」と言われてからでは遅いですからね。
第23次公募の申請締切は2026年5月8日(金)17:00です。最新の公募要領やFAQはものづくり補助金総合サイトで確認できます。
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審査で何を見られているのか、加点・減点の戦略、通る計画書と落ちる計画書の違いをまとめています。 - ものづくり補助金を徹底解説|制度概要・対象経費・審査のポイントまで【まとめ】
3本の記事を一覧できるまとめページです。
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