AI入門7:生成AIと生成AIサービスの比較

(※シリーズ「AI入門」は、筆者が、2023年・2024年に愛知県中小企業診断協会の理論政策更新研修での登壇内容「AIを活用した中小企業診断」の補足資料として、本サイトに掲載しています)

みなさんこんにちは、デジタルボーイです。

本シリーズ「AI入門」の第7回となる記事となります。今回は、現在はやりにはやっている生成AIについて、概要をお伝えしたいと思います。

記事を書いた人

デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ

目次

そもそも生成AIってなに?

生成AIを英語で言うと、generative AIと言います。生成AIは、文章、画像、音声などの情報やデータを生成する人工知能の総称です。従来のAIは、与えられた入力に対して出力を生成するのに対し、生成AIはこれまで学習した膨大なデータのパターンから、新しい情報やデータを生成することができます。

生成AIの種類としては主に次のようなものがあります。

  • 自然言語生成モデル:ユーザーが何か文字を入力することで、AIモデルが文章を生成します。アプリケーションとしては、ChatGPTが代表例ですね。 ChatGPTにはGPT-3やGPT-4と言う大規模言語モデル(AIモデル)が使われています。
  • 画像生成モデル:ユーザーが何か文字を入力することで、AIモデルが画像を生成します。ChatGPTに組み込まれているDALL-Eが有名ですね。その他、Stable Diffusionなどが画像生成のAIモデルとして有名です。
  • 音声合成モデル:ユーザーが何か文字を入力することで、AIモデルが人間の声に似せた音声を生成します。たとえば、GoogleのWave Netや、AmazonのPolyが音声合成モデルとしては有名です。

生成AIとディープラーニングは同じもの?

前回のコラムではディープラーニングの技術について解説しました。

そこでも解説しましたが、ディープラーニングは機械学習というコンピューターによって自動的にデータのパターンを学習し、未知のデータに学習したパターンを当てはめ、予測したり分類したりする技術でした。そして、ディープラーニングが、人間の脳の神経細胞網を模したニューラルネットワークという仕組みを使って、データを学習する手法でしたね。これによって、画像認識や言語処理などが可能となっています。

そして、生成AIは、正にディープラーニングの技術を使ったAIになります。ディープラーニングがなければ、生成AIモデルも実用できるレベルで実現するのは不可能でしょう。なので、ディープラーニングの技術やニューラルネットワークの技術は、生成AIを支える根幹となる基礎理論といえます。

生成AIはどうやって作られている?

ここでは、GPTモデルなどの言語生成モデルに絞って、かなりざっくりですが、モデル構築の概要について説明しますね。

GPTなどの大規模な言語生成モデルは、主に以下の手順で構築されています。

大量の文書データを収集する

ChatGPTくらいの実用可能な精度の言語生成モデルを構築するには、AIに食わせるためにめちゃめちゃ膨大な量の文書データが必要です。文章データは書籍やウェブページや論文などです。一説にはChatGPTに使われているGPTモデルは、Wikipedia等のWEBページ、学術論文掲載の論文、ニース記事、プログラムコードなどのデータを収集し学習に利用したと言われています。

事前学習(Pre-training)を実施

収集したデータを用いて、AIモデルの構造に従ってAIが学習を行います。アーキテクチャで自己教師あり学習を行います。学習にはたとえば次のように、文章の一部分をマスキングしたものに対して、文脈から正しい単語を予測するように、学習をします。膨大な文章データを学習することで、対象となるマスキング箇所も高精度に予測することが可能となります。

これにより、自然な文章が生成できるようになるんですね。

この学習ステップを事前学習と呼びます。モデルが言語の基本的な特徴を学習します。

ファインチューニング(Fine-tuning)

たとえば、ChatGPTで使われているGPTは英語だけでなく、日本語、中国語、ドイツ語にも対応しています。また、プログラミングの支援に特化したGPTモデルも存在します。これらのモデルは、一つ一つ、ゼロから構築するのではなく、ベースとなるGPTモデルがあり、それを使って、対象言語に特化したモデルだったりプログラミングに特化したモデルだったりへと、最終的な微調整を行うことで構築します。

このような特定の目的に合わせて、ベースモデルから微調整をするための目的で学習することをファインチューニングと言います。

概ね、このような流れで大規模言語モデルは作られています。

生成AIサービスはどんなものがある?

一般ユーザーが生成AIを利用する一番手取り早い方法は、生成AIのWEBサービスを利用する方法ですね。ChatGPTなんかはこれの代表例です。

ChatGPT

言わずと知れた、生成AIサービスのトップランナーですね。

ChatGPT公式サイト

OpenAIという人工知能企業が提供するサービスです。無料版と有料版があります。2024年5月現在、有料版は20ドルです。円安の影響で月によって負担が変わります。。。

無料版は文章生成で、有料版はさらに画像生成や文章以外のデータのアップロードも可能です。また、無料版のAIモデルはGPT3.5というものですが、有料版はそれに加えて次世代モデルのGPT4というものも使えます。これにより、文章もより複雑で自然なものが出力されます。

とは言え、個人的には無料版でも十分に精度の高い文章が作られていると言う印象を僕は持っています。ちなみに以下は、ChatGPTの無料版で、「中小企業診断士という資格について教えて」への質問の答えです。

中小企業診断士は、中小企業の経営改善や経営支援を行うための専門家です。
具体的な業務内容としては、経営計画の策定や業績分析、財務分析、経営戦略の立案などが挙げられます。
また、中小企業診断士は、経営者や経営陣と密接に連携し、経営課題の解決や事業の発展を支援する役割を果たします。

中小企業診断士になるには、特定の試験に合格する必要があります。
試験内容は、経営学や経済学、会計学、法学などの幅広い知識が問われます。
また、実務経験も必要とされる場合があります。
診断士として活躍するためには、専門知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決能力も重要です。

中小企業診断士は、中小企業の持続的な成長や発展に貢献する重要な存在として、広く社会から期待されています。

特に間違った説明はありませんが、当事者からすると、いかにも生成AIがつくった無味乾燥な文章だなぁという印象です。

また、他の生成AIサービスに比べても、満遍なく、優等生的な使いやすさがあるといった印象です。

また、僕自身はPythonというプログラミング言語を使っているんですが、Pythonに関する質問をした場合、他の生成AIサービスよりも精度が高いことが多いですね。

とりあえず、文章生成を使ってみようと思った場合は、ChatGPTの無料版がおすすめです。また、画像生成もやってみないといった場合はChatGPTの有料版もいい選択肢だと思います。

Claude

アメリカのAnthropicという人工知能が提供するサービスです。Claudeは「クロード」と読むらしです。ここ最近、急速に広まってきました。ChatGPTに比べて、日本語が自然で、精度の高い文章を生成するということで、評価されています。

Claudeサイト

僕も、数ヶ月前まではChatGPTがメインだったのですが、文章生成についてはこのClaudeを使っています。特に、日本語の文章は、ChatGPTに比べて自然な気がします。

2024年5月時点でのClaudeのプランは、無料版と有料版で有料版の料金体系は20ドルです。ChatGPTと全く同じですね。無料版も十分に文章生成の精度は高いのですが、有料版はさらに高いモデルが使用されています。ちなみに、Claudeは有料版も画像生成はできません。この点は、ChatGPTの有料版とは異なりますね。

以下は、Claude無料版の「中小企業診断士という資格について教えて」への質問の答えです。

中小企業診断士は、中小企業の経営課題の解決をサポートする国家資格です。
具体的には以下の役割を担います。

経営診断
中小企業の経営状況を分析し、経営課題を発見、解決策を提案する。財務分析、市場分析、組織分析などを行う。

経営計画策定支援
中小企業の経営戦略や事業計画の策定を支援する。新規事業、業務改善、事業承継等のアドバイスを行う。

経営革新支援
生産性向上、マーケティング強化、IT化推進など、中小企業の経営革新を支援する。

補助金・支援制度の活用支援
国や自治体の中小企業向け補助金や支援制度の情報提供、申請支援を行う。

研修・講師
経営者や従業員向けのセミナー、研修会での講師を務める。

資格取得には中小企業庁が実施する国家試験に合格する必要があり、
経営学、会計学、マーケティング等の知識が問われます。
中小企業の経営全般にわたる高度な専門家資格と位置づけられています。

ChatGPTに比べてより、具体的な内容であり、なかなかいい文章なんじゃないかなと思います。こなれた文章を求めるのであれば、ChatGPTよりもClaudeの方が良さげですね!

google Gemini

googleが開発している生成AIです。

google Gemini

基本的には文章生成がメインのサービスです。画像生成も英語で依頼すれば可能とのことなのですが、僕自身は何度かやってみても、生成できませんでした。まだまだ、画像生成については実用レベルには達していないと言えます。他の生成AIと同じく無料プランで基本的な用途は足りるようです。有料プランもあり、これにより他のGoogleサービスの利用や連携が可能となります。

それでは、「中小企業診断士という資格について教えて」への質問してみましょう。

中小企業診断士とは
中小企業診断士は、中小企業の経営に関する幅広い知識と技能を持ち、経営診断を通じて中小企業の経営課題の解決を支援する専門家です。国家資格であり、中小企業支援法に基づき、一般社団法人中小企業診断協会が認定を行っています。

中小企業診断士の主な役割

中小企業の経営全般を診断し、経営課題を分析
経営課題の解決に向けた具体的な指導・助言
経営計画の策定支援
資金調達支援
人材育成支援
事業承継支援
その他、中小企業の経営に関わる様々な支援
中小企業診断士になるには

中小企業診断士になるには、中小企業診断士試験に合格する必要があります。試験は年に1回実施されており、合格率は約4%と難関です。

試験科目

第1次試験:経営に関する基礎知識(選択式)
第2次試験:経営全般に関する専門知識(記述式)
第3次試験:実務能力試験(面接、論文)
試験合格後

試験に合格後、実務補習を受ける必要があります。実務補習は、中小企業診断士事務所等で2年間の実務経験を積むか、中小企業診断士登録講習会を受講する方法があります。

中小企業診断士の活躍の場

中小企業診断士は、中小企業診断士事務所、金融機関、コンサルティング会社、公務員、大学など、様々な場所で活躍しています。近年では、フリーランスとして活動する中小企業診断士も増えています。

中小企業診断士の取得メリット

中小企業の経営に関する幅広い知識と技能を身につけることができる
国家資格なので、高い信頼性と専門性を証明できる
中小企業支援に関わる様々な仕事に就くことができる
独立開業することができる
中小企業診断士の資格取得を検討している方へ

中小企業診断士の資格取得は、難易度の高い試験に合格する必要があるため、しっかりとした学習計画を立てて勉強する必要があります。また、実務経験も重要となりますので、学生時代にインターンシップ等に参加するなど、積極的に経験を積むことをおすすめします。

中小企業診断士は、中小企業の経営を支える重要な役割を担っています。中小企業に関心があり、人の役に立ちたいと考えている方にとって、非常にやりがいのある資格です。

参考情報

一般社団法人中小企業診断協会: https://www.j-smeca.jp/
中小企業庁: https://www.chusho.meti.go.jp/
スタディング: https://studying.jp/shindanshi/
TAC: https://www.tac-school.co.jp/kouza_chusho.html
その他

上記以外にも、中小企業診断士に関するご質問があれば、お気軽にお尋ねください。

文章というよりは、情報を箇条書きでまとめているという印象ですね。Googleが作っているだけあって、Google検索の延長のツールといったイメージです。また、上の生成AIとことなり、参考情報として参照元(元ネタ)を明記しているところは特筆すべきです。確固たる事実を調査したい場合は、Geminiでまずはざっくりと情報を調査し、その後に元ネタに当たるという使い方も良さそうです。

あと、Geminiで僕がよく使っている活用方法として、SEO(インターネットで検索上位表示をするための施策)についての質問です。たとえば、「Google検索で上位表示させるためには、〇〇のテーマのブログの場合、タイトルはどんなのがいい?」などです。さすが、Googleが開発しているだけあり、他の生成AIよりも具体的に指示をしてくれることがよくあります。

bing Copilot

こちらは、マイクロソフトが提供する生成AIです。

bing Copilot公式ページ

マイクロソフトは検索エンジンのBingというものを提供していますが、その付属ツールのような立ち位置でCopilotという生成AIも提供しています。基本的には無料で使えます。有料版にすることで、マイクロソフトが提供するその他の製品と連携することができます。単体で使う分には、無料版で十分ですね。

それでは、お馴染みの質問、「中小企業診断士という資格について教えて」としてみましょう。

中小企業診断士は、日本の国家資格で、主に中小企業の経営全般に関する幅広い知識を持つ専門家を指します。
この資格は、中小企業の経営改善や問題解決を支援するための専門的な知識と技術を有していることを証明するものです。

中小企業診断士の主な業務は、中小企業の経営者や従業員に対して、経営計画の策定、財務状況の分析、
マーケティング戦略の立案、人事労務管理の改善など、経営に関するアドバイスや指導を行うことです。

また、中小企業診断士は、独立して開業することも、コンサルティング会社や金融機関などに就職することも可能です。
特に、独立開業する場合には、中小企業診断士の資格が信用と信頼を得るための重要な手段となります。

中小企業診断士の資格を取得するためには、厳しい試験に合格する必要があります。
試験は、一次試験と二次試験から成り、一次試験は筆記試験、二次試験は口頭試験となっています。
試験科目は、経営理論、経営法務、経営情報システム、経営資源、経営戦略、経営環境の6科目です。

中小企業診断士の資格は、中小企業の経営に深い理解と高度な専門知識を持つことを証明するもので、
中小企業の経営改善や発展に大きく貢献することが期待されています。
また、中小企業診断士は、中小企業の経営者や従業員だけでなく、地域社会全体の発展にも寄与することができます。
そのため、中小企業診断士の資格は、社会的にも高い評価を受けています。

なかなかいい感じの文章ですね!具体的な情報も盛り込み、かつ、文章としてもまあまあ自然だと思います。試験科目も具体的な科目名まで列挙できていて、さすが検索エンジンと連動しているだけあります。

また、今回はGeminiのような出展は出力されていませんが、回答によっては出典も明記することがあり、この点も、事実に基づいた回答をしている印象があります。そのため、時事的なことなど事実についての質問などはBing Copilotにするといいのではないでしょうか

生成AIへの評価

今回の簡単な実験ですが、僕なりの生成AIによる文章生成への評価をして、結論づけしたいと思います。

生成AIサービス洗練さ具体的情報文章量Pythonバランス
ChatGPT3335
Claude5444★★★
Gemini2553
Copilot3543
生成AIについては全て無料版で比較

無料版で文章生成するのであれば、バランス(普段の使いやすさ)で、いまのところClaudeかなと思います。文章はかなり洗練されており、ほどよく具体性も担保しています。これであれば、ビジネスでも使えるケースは結構ありそうですね!

また、GeminiやCopilotは事実に基づいた検索のサブツールとしては優秀なので、タスクに特化した使い方では存在価値は大いにあります。きっちっとした文章でかつ、事実や具体性も盛り込みたいのであれば、ベースでClaudeを使い、部分的にGeminiやCopilotで補うという使い方もいいのではないでしょうか。

また、今回他のサービスと比較して、意外だったのがChatGPT(無料版)の文章の洗練さの低さでした。他の生成AIサービスの品質が向上しているからなのですが、文章の出来としてはイマイチですね。これについては無料版のAIモデルはGPT3.5であり、有料版はGPT4のため、世代が古いというのも原因であり、これも有料版への移行のための戦略なのでしょう。ただし、GPT4を使うことで洗練された文章にはなるのですが、文章生成のスピードががくっと下がり、連続して使うような場合は、ちょっとストレスがかかります。個人的には、Pythonによるプログラミングのサンプルコードの生成に特化したサービスとしての価値しか、いまのところみとめられません。

まとめ

今回は生成AIの概要と、主な生成AIサービス(文章生成)について、解説と評価をしました。ただし、今回の評価も半年とか一年でまたガラっと変わると思います。それくらい生成AIサービスの開発スピードは速いです。なので、生成AIサービスについては一つのサービスを使うというよりは、場面場面で使い分けるのが賢いやり方だと思います。

それでは、あなたのよい生成AIライフを!

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