AI入門3:AIの種類

(※シリーズ「AI入門」は、筆者が、2023年・2024年に愛知県中小企業診断協会の理論政策更新研修での登壇内容「AIを活用した中小企業診断」の補足資料として、本サイトに掲載しています)

みなさんこんにちは、デジタルボーイです。

本シリーズ「AI入門」の第3回となる記事となります。今回はAIの種類について、ざっくりとご紹介したいと思います。

記事を書いた人

デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ

目次

AIには弱いAIと強いAIがある?

AIを語る時、よく「強いAI」と「弱いAI」ということばがでることがあります。AIの実情を知る上で、このことは結構、重要な概念なので、触れてみたいと思います。

弱いAIってなに?

弱いAIは、英語だと「Weak AI」とか「Narrow AI」と言います。この弱いAIというのは、特定の処理や課題を実行するために設計された人工知能になります。弱いAIは、その処理や課題においては、人間を上回るような、むちゃくちゃすごいパフォーマンスを発揮することができますが、それ以外の課題や汎用的な問題解決には対応できません。

例えば、画像認識のAIによる不良品の判別なんかは、人間よりもずっと早く、ずっと正確に、不良品を判別することができます。でも、そのAIは、たとえば明日の天気の予測など、他の課題について汎用的に判別できません。

なので、弱いAIは、人間の知能を模倣することを目指してはいるものの、人間のように汎用的な理解力や推論能力を持っているわけではないんですね。以下は、弱いAIの例です。

  • 文章生成AI: ChatGPTなどはこれに当たります。AIが大量のテキストデータを学習して、人間が書いたと見分けがつかないほどの文章を生成することができます。
  • 音声認識: SiriやGoogleアシスタントのような仮想アシスタントは、ユーザーの質問に答えたり、指示に従ったりする特定のタスクに優れています。
  • 画像認識: セキュリティシステムや自動運転車で使用される顔認識や物体検出技術は、画像内の特定のパターンを認識するのに特化しています。
  • 検索エンジン: Google検索は、ユーザーが求める情報を迅速に見つけ出すために、膨大なデータベースから関連性の高い結果をフィルタリングします。

この弱いAIは、世の中の多くの情報から、自分から創造的に行動したり、判断したりはしません。開発者がプログラムした、決まりきった処理を延々と繰り返す機械なんですね。

そして、ここで重要なのが、現在、世の中で実現しているAIは全て、弱いAIに該当する!!ということです(今のところ)。

強いAIってなに?

強いAIというのは、弱いAIのできないところまで、実施するようなAIの概念です。人間と同じように、世の中の無数の情報を読み取り、創造的な行動をしたり、課題を解決するように行動するAIです。

ターミネーターとか、エバンゲリオンのスーパーコンピューターのマギとか、ドラえもんとか、映画や漫画やアニメのアンドロイドなんかは強いAIに分類されます。一般的に、AIをイメージする場合、このような強いAIをイメージするんじゃないでしょうか?

そして、ここで重要なのが、現在、世の中では、強いAIは実現していない!!ということです(今のところ)。

AI技術を分類してみる

続いて、AIの技術について、整理してみましょう。

AI技術を大まかに分類したものが次のイメージ図になります。

AI技術

簡単な制御プログラムやロボット掃除機などが該当し、AI技術の中でもかなり初歩的・基本的な技術です。こちらの記事で書いたレベル1とレベル2に相当する技術です。

(ディープラーニング以外)機械学習

ディープラーニング以外の機械学習は、本によっては伝統的な機械学習と言う言い方をすることもあります。その歴史は古く、1970年くらいには理論的にも重要な研究がされていました。

機械学習はざっくりいうと、大量の数値データをAIが学習し、そこから効率的にパータンを見つけ出したり、予測したりするAI技術、といったところです。機械学習を使わなければ、人間がいちいち、特定のパターンに該当するためのルールを手動でプログラムする必要があるところそ、機械学習を使うことで、大量のルールを、データから自動的に見つけ出します。そのルールから、特定のパターンを発見したり、未来を予測することも可能となります。

ディープラーニング

ディープラーニングは日本語では、深層学習と言います。ディープラーニングが、実際のコンピューター上で稼働し、その結果が公に現れ出したのは、2015年あたりからと言われています。初めは画像認識のコンテストで、それまで活躍指定が画像認識のアルゴリズムの性能を遥か超え、ディープラーニングがぶっちぎりました。ここから、「ディープラーニングすごいんでね?」という認識が一気に広まり、画像認識以外にも、テキスト生成や画像生成などさまざまな分野でとんでもない成果を出すようになりました。

ディープラーニング以前の伝統的な機械学習では、AIに読み込ませるデータは基本的には、Excelなどで扱うような縦と横からなる数表データ(テーブルデータ)でないとダメでした。で、このようなテーブルデータを作るのが結構しんどかったりするんですね。例えば、人間が話す言葉をテーブルデータに無理やり数値化すると、中がスカスカなのに、果てしなく横の長いテーブルデータ(疎行列・スパース行列と言う)になってしまう。。。なんてことなってしまい、このままでは、うまく機械学習ができなかったんですね。

それが、ディープラーニングを使うことで、言葉や画像を人の手でいちいちテーブルデータに変更しなくても、データをそのままAIが学習してくれるようになりました。これって、実は、すごく、すごいんです!僕自身は伝統的な機械学習を使ったデータサイエンスが専門ですが、データサイエンスの仕事のほとんどの時間は、AIに読ませるためのデータ作り(「特徴量エンジニアリング」といったりします)なんです。でも、ディープラーニングでは、そのような特徴量エンジニアリングをしなくとも、画像をそのままAIが取り込んでくれるんです。これって、むちゃくちゃすごいんですね!

このような点から、ディープラーニングも機械学習の一部なんですが、機械学習から独立してそれ単体でディープラーニングというように言われることが多です。そのため、一般的に機械学習というと、ディープラーニング以外の機械学習の手法を指すことが多く、活用場面も、画像認識や生成AIなどではなく、ビッグデータの分析などのデータサイエンスが多いですね

ディープラーニング・・・画像認識、画像生成、音声生成などのAI分野

機械学習・・・ビッグデータの分析などのデータサイエンス分野

以上が、簡単なAIの技術的な分類でした!

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