AI入門1:AIとは何か?

(※シリーズ「AI入門」は、筆者が、2023年・2024年に愛知県中小企業診断協会の理論政策更新研修での登壇内容「AIを活用した中小企業診断」の補足資料として、本サイトに掲載しています)

みなさんこんにちは、デジタルボーイです。

本シリーズ「AI入門」の第1回となる記事となります。今回は第1回ということで、「AIとはなにか?」についてざっくりとご紹介したいと思います!

記事を書いた人

デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ

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AIってよく聞くけど、AIについて、あまり詳しくしらない・・・

AIについては、テレビでもネットでも、ChatGPTとか生成AIとか画像生成とか、いろんな情報が出回っていますね!そのため、多くの人はAIについては漠然とイメージを持っていると思います。でも、なかなか、AIについて具体的な知識はなかなかしらないことが多いいんじゃないでしょうか。

なので、この記事では、とりあえずざっくりとAIの概要を理解してもらうことを前提に、内容を書いてみました!

AIの定義ってなに?

実は、AIというのは厳密に定義されているものではなく、研究者によってちょっとずつ変わっています。なので、実は、「これはAIで、これはAIでない」なんて分別はできないんですね。学者のなかでも漠然としているので、一般の方にとって、AIがわかりにくいのは当たり前ですよね。

たとえば、1956年に世界で初めてAIを提唱したと言われているジョン・マッカーシー(John McCarthy)はAIを“the science and engineering of making intelligent machines” (訳すと「知的な機械を作るための科学と技術」)というように言ったとされています。(参考:https://www.forbes.com/sites/bernardmarr/2018/02/14/the-key-definitions-of-artificial-intelligence-ai-that-explain-its-importance/?sh=37299f244f5d

まあ、ざっくりと、人工的に知能を作るための技術くらいに思っていただければ、問題ないでしょう。

AIの活用場面でAIを分類してみる

AIにはどんなものがあるのか簡単に分類してみましょう。分類については、日本ディープラーニング協会のAIに関する検定である「G検定」のテキストに沿ってご紹介します。

レベル1:簡単な制御プログラム

現在の家電の多くは組込みプログラムという、電子制御をするためのプログラムが導入されています。で、このような簡単な制御プログラムをレベル1のAIと呼ぶことができるらしいです(まあ、一般的には、これをAIなんて言いませんが、あくまで、専門家が考えたAIの分類についての、知的な遊びとして)。

この組込みプログラムは、停止ボタンを押したらエアコンが停止するとか、炊飯器がスタートするとか、ある決まった特定の処理を実行するためにプログラムされ、決まった条件で、家電などの機械を制御したりします。

例えば、エアコンの制御プログラムでは、温度センサーが周囲の温度を読み取って、設定された温度よりも高い場合は冷房を、低い場合は暖房を、というようになにも指示しなくても、勝手に作動するようにプログラムされています。おんなじように、洗濯機の制御プログラムでは、水位センサーで、いい感じに数量を調整し、洗濯、すすぎ、脱水などの処理を制御します。

このような決まった条件で機械をプログラムで制御するレベルをレベル1の人工知能と言います。

レベル2:古典的な人工知能

レベル2の人工知能は、探索、推論、知識データの活用などの高度な機能を持つAIと言われています。このレベルのAIは、複雑な環境で、自分自身で問題解決や意思決定を行う能力を有しています。具体的な例として、ロボット掃除機を挙げてみすね!

ロボット掃除機は、人間がいちいち指示しなくても、部屋の中を勝手にいろいろさがしまわって、部屋を効率的に清掃しますよね。これは、ロボット掃除機にたくさんのセンサーを搭載して、リアルタイムにセンサーからの情報を読み取って、判断するようプログラムされているからなんです。以下に探索、推論、知識データの活用がどのように機能するかを具体的な例として説明します。

  1. 探索:
    • ロボット掃除機は、部屋を効率的に清掃するために、人間がいちいち指示しなくても、勝手に部屋の中を探し回ります。これを「探索」と言います。また、部屋のすみっことか、椅子やぬいぐるみのまわりとか、まだ掃除できていないところをを見つけるためにセンサーをつかって部屋の中を探索します。
  2. 推論:
    • ロボット掃除機は、センサーデータから部屋の中の状態を想像し(推論)、一番いいと思われる行動をとるようにします。例えば、椅子とかぬいぐるみとかの掃除をするための障害となる物を検出した場合、ロボットはそれをさけて回り込むか、別のところに行くかを決めることなどが、推論に当たります。これを瞬時にやってのけるなんて、ロボット掃除機はすごいですよね!
  3. 知識データの活用:
    • 多くのロボット掃除機は、初めて動かす時はいきなり掃除をせずに、事前に部屋の中をさがしまわって、部屋の状況を理解しようとします。これをマッピングデータと言ったりします。このような知識データをロボットは活用します。このデータによって、特定の部屋のレイアウトや障害物の場所なんかを把握し、効率的な清掃ルートを計画することができるんですね!また、一度掃除した場所を覚えておき、重複して掃除しないようにすることもできたいります。

このレベル2の人工知能はロボット掃除機だけでなく、自動運転とか医療診断システムとかチャットボットなんかにも利用されています。

レベル3:機械学習

レベル3以降が、世の中で一般的にイメージされるAIにより近いものになります。AIっぽい仕組みですね。このレベル3の機械学習というのは、大規模データ(いわゆるビッグデータ)から、AIがパターンや規則性を学習して、その学習結果を用いて、AIが新しいデータに対して予測や意思決定を行う技術になります。このレベル3での機械学習では、しばしば、「学習」と「予測」という処理がセットででてきます。

日常生活では、ビッグデータの分析で、機械学習はよく利用されています。例えば、アマゾンのおすすめ商品なんかは、膨大なユーザーの利用履歴データから、「効率的にこの商品を買った人は、次はこの商品を買う確率が高いから、おすすめする」というようなルールを機械学習の手法を用いて見つけています。他にも、金融機関が住宅ローンの審査で、借入希望者の将来、返済できなくなるリスクを予測したり、渋滞を予測したり、顔のリスクを予測したり、、、といったものに活用されています。これまでのレベル1と2が家電で広く応用されているのに対して、レベル3は、どちらかと言うと家電よりも、ビッグデータを持っている企業が裏で自分たちのビジネスを効率化するために実装しているイメージですね。

僕自身もこの機械学習によるモデル構築が専門ですが、一般ユーザーの眼に触れるようなモデルを構築したケースは稀です。

レベル4:ディープラーニング

ディープラーニングは日本語では深層学習と言います。厳密にはディープラーニングも機械学習の中の一手法なんですが、その強力さと応用力の高さで、その他の機械学習を「伝統的な機械学習」とし、ディープラーニングと区別することが多いですね。

AIによる、画像生成とか、画像認識とか、チャットボットとか、音楽生成なんかがこれに当たります。レベル3の機械学習とのちがいは、ざっくり言えば、Excelで扱うような数値データ(テーブルデータ)を学習するのがレベル3の伝統的な機械学習、数値データ以外の、画像データ、言語データ、音声データなどを扱うのがレベル4のディープラーニングというように思ってもらえれば、概ねOKです※。

ディープラーニング以前の機械学習は分析者が一生懸命、データを数値化してテーブルデータ(いわゆる2次元の行と列に整列した表データ)に整形し、AIに学習させていました。

しかし、ディープラーニングの技術でそれが一変します。画像データを画像のまま最低限の処理だけで、AIに学習させることが可能となったのですね。これによって、いままでAIで難しかった画像の処理、言語の処理、音声の処理なんかが格段に精度高く、学習されるようになったんです。

この技術が瞬く間に世間に広がり今の生成AIブームにつながっています。

注:ディープラーニングをより厳密言えば、「深層構造を持つニューラルネットワークを用いた技術」を指します。

まとめ

以上、レベル1〜レベル4を説明しました。広い意味ではこのレベル1〜4をAIと呼ぶのですが、世間一般的にはとくにレベル3〜4をAIと呼ぶことが多いですね!

重要な点として、厳密にAIというものの定義は未だ確立されていないという点です。そのため、「これはAIだ!」とか「これはAIじゃない!」という議論をよく耳にしますが、厳密な結論は出ないため、あまり意味はないんじゃないかと個人的には思っています。特に、これからAI技術はどんどん発展していくこともあるため、厳密なAIの定義よりも、AIの活用場面や大まかな概要を把握することが、重要なんじゃないかなと思います!

次の章では、AIの歴史について見ていきましょう!

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