シリーズ「データ分析入門」第3回:現役データ分析コンサルが語る、データ分析の面白さ

みなさん、こんにちは。デジタルボーイです。

今回は、現役データ分析コンサルの立場から、「データ分析のどこが面白いのか?」について僕の経験から解説したいと思います。

記事を書いた人

デジタルボーイです。
データサイエンス歴20年以上のおっさんです。中小企業診断士として、データサイエンス、WEBマーケティング、SEOに関するデータ分析、コンサルティングの仕事をしています。自己紹介の詳細はコチラ

目次

ビジネスで経験するデータ分析の面白さ

僕は普段、データ分析コンサルと経営コンサルとして仕事をしていますが、「データ分析が面白い!」と感じるところは、

データ分析の面白さ1:素人が、未知の領域で力を発揮できる!

まず第一に挙げる、データ分析の面白さとしては、ほとんど詳しいことは知らない未知の分野や領域でも、データを分析することで、その道のプロでもわからないことを解明できる、という点です。

これは僕のコンサル事例のお話です。アパートを管理する不動産業を営む企業に対して、データ分析のコンサルティングを行なった時のことです。その当時、僕は不動産業のコンサルは全くやったことがなく、不動産業界については未知の分野、本当にど素人でした。

そのような状態で、アパートを管理する不動産業を営むクライアントから依頼された内容は、未来のアパートの入居率の予測でした。

普通に考えて、不動産業を全く知らないズブの素人が、未来のアパートの入居率なんて予測できるはずはありません。それでも、そのアパート管理会社は僕に依頼をしていただきました。

もし、その管理会社に依頼しているアパートオーナーが、自分の保有するアパートの入居率の予測を、実は、僕のようなど素人に依頼しているといったら、きっと、「この管理会社は頭がおかしくなったのか?」と思い、すぐにGoogleで「至急 アパート管理会社 変更 方法」と調べることでしょう。もちろん、その管理会社のクライアントは頭がおかしくなったわけでも、自暴自棄になったわけでも、ヤケクソになったわけでも、ウケを狙ってすべったわけでもなく、大真面目に僕に依頼をしていただきました。

そこで僕は、データ分析(機械学習というAI手法)により、国勢調査データや経済センサスデータといった、人口データ、企業データ、エリアデータを用いて、アパート入居率を行いました。

その予測モデルでは、例えば、「そのエリアにIT企業が25社以上あれば、将来のアパートの入居率が90%を超える確率が高い」といったルールがあることががわかりました。

AIが出したルールの例:
「そのエリアにIT企業が25社以上あれば、将来のアパートの入居率が90%を超える確率が高い」

このルールをクライアントの社長に話したところ、

「今まで何十年も不動産業を営んでいたが、こんなルールがあることは全く知らなかったし、他の不動産業者も誰も知りませんよ!」

と驚いていました。この時のように、データ分析をやっていて一番嬉しいことは、分析結果をクライアントに提示し、とても驚くと同時に、感謝される瞬間です。

こんな感じで、データ分析コンサルをやっていて、未知の分野でも、データ分析を駆使することで、その業界のプロでもできないことを、ど素人の僕が解明した時は、本当に、面白さとかやりがいを感じますね!

データ分析の面白さ2:勉強した分だけ、技術が身に付く!

例えば、経済学の勉強を毎日少しずつ地道にしたとしましょう。その勉強を1年間続けたとしても、勉強の結果、実際に経済を動かせるかというと、そんなことは普通はありえないと思います。また1年勉強したところで、実際の仕事に役立てれるかというと、そうでもないと思います。

でも、データ分析の勉強を毎日少しずつでも地道に勉強したとしたら、その人は、1年前の自分に比べて、格段にデータ分析の実力は付いているでしょうし、実際にデータ分析ができるだけの技術を習得することも十分可能です。

このように、データ分析を面白いと感じる理由の一つに、
「勉強すればしただけ、データ分析の技術が身に付く」ということが挙げられると思います。

データ分析の面白さ3:今日勉強したことが、明日仕事で使える!

データ分析の面白さ2の「勉強した分だけ、技術が身に付く!」につながることですが、データ分析の技術ははそのままビジネス場面で利用できるため、仕事でのスキルアップの方法としてもとても魅力的です。

例えば、仕事で英語が必要だったとしても、前日英語の勉強をして、翌日仕事で使えるかというと、普通は、そんんなことはありえないでしょう。

一方、データ分析の場合は、勉強したことがそのまま、仕事で使えることもたくさんあります。

例えば、プレゼン資料や提案資料を作るときに、自分の同僚や上司は普通に資料を作るところを、あなたは、データ分析を行い、客観的なデータと分析結果という強力なエビデンスを盛り込んだ資料を作れたとすると、どうでしょうか?

あなたの資料は他の同僚や上司の資料に比べて、格段に客観的で説得力のある資料であるはずです。

間違いなく、お客さんからの納得も、データを示した資料と示していない資料では、データで示した資料の方が得られやすはずです。

このように、データ分析を勉強すれば、勉強しただけのリターンがすぐ得られるというのは、とても魅力的な分野ですよね!

データ分析初心者が勉強中に面白いと感じるためのコツ

データ分析初心者にとって、データ分析の勉強中に難しい数式や複雑な理論の解説に遭遇した時に
「自分にはデータ分析は無理だ」と諦めたくなることもあるでしょう。

そのような場面でも諦めずに、勉強を進めていくための、僕なりのちょっとしたコツについてお伝えします。

実際に手を動かしながら勉強してみる

データ分析という分野は知識だけが重要な分野ではなく、実際のデータを分析するための技術も知識以上に重要な分野です。特にビジネス場面などの応用場面では、データ分析の知識だけでは役に立たず、実際にデータ分析できるだけの技術があることが、必要不可欠です。

また、データ分析の面白さの醍醐味はやっぱり実際にデータを自分で分析し、何らかの結果を
出せることでしょう。

データ分析を勉強する際には、必ず、自分でソフトウェアを動かしながら、勉強するようにしましょう。
きっと、本だけを読むよりも、面白くなるはずです。

ちなみに、僕なりの初心者にとっておすすめての統計用のソフトウェアは

  1. Excel
  2. R
  3. Python

です。
こちらにも、初心者にとってのおすすめソフトウェアについて解説しているので、よかったら参考にしてください。

テーマを決めて勉強する

データ分析の書籍については、統計解析、機械学習、ディープラーニング、推測統計、実験計画、マーケティングサイエンス、ビッグデータ、プログラミング・・・と、多くのジャンルがあります。

多くのジャンルがあるので、初心者の方は
「データ分析を勉強するには、こんなにたくさんの勉強が必要なのか・・・」
と思い、挫折してしまう場合もあるかもしれません。

しかし、もちろん、そのジャンルの全てを勉強する必要はありません。
データ分析はあくまで手段(=道具)なので、何を分析するのかという目的から、必要に応じて、データ分析の勉強をすればいいでしょう。

そのため、データ分析初心者は何から勉強するのか?という問い対しては、データ分析の目的は何か?ということからスタートするといいでしょう。

例えば、ビジネス場面の売上データの分析をしたい場合は売上データの分析に関する最も優しそうなデータ分析の本から始めてみるといいと思いますし、株データの分析をしたい場合は、そのジャンルで一番優しい本から始めてみるといいでしょう。

データ分析の勉強のテーマの例についてはこの記事の下の「分析するテーマを決め、能動的にデータ分析をする」で挙げています。

データ分析初心者にとってのおすすめの本については、以下にも解説しているので、参考にしてください。

思い切って、難しい数式はすっ飛ばす

データ分析を勉強していると、難しい数式や理論に出くわすことがよくあります。そして、数式があまりに多くて、データ分析の勉強を挫折してしまうこともあるかもしれません。

学生時代に数学の勉強をあまりやっていない場合は、特に難しく感じると思います。僕も大学受験では数学を使わない、私立文系の入試を経験した文系出身者です。大学と大学院で急にデータ解析の勉強をするようになり慌てて数学の勉強を復習したため、もともと理系だった人を羨ましく感じることがよくあります。

そんな僕だからこそ、断言します!

データ分析の書籍に登場する、因数分解や微分や積分などの数式というのは、その理論を知らなければ、その数式をいくら眺めて、考えたところで、わかることはありません

また、学術レベルではなく、一般的なビジネス場面でデータ分析を活用したい場合は、必ずしも数式をきちんと理解しなければならないなんてことはありません。それよりも、実際のデータを分析できるだけのソフトウェアを使える技術があった方が何倍も有利です。

なので、数学が得意てない方は、データ分析を諦めるのではなく、まず、勉強する書籍は数式があまりない書籍から勉強するようにしてください。それでも書籍の中に数式があるようなら、その箇所は思い切って読み飛ばしてください。

数式の箇所を読み飛ばした分は、実際にソフトウェアを使ってデータ分析するようにして、

「数式からデータ分析を理解するのではなく、ソフトウェアを使って実際に分析してみて理解する」

というスタンスで勉強を進めるようにしてください。

数式が全く理解できなくても、優れたデータサイエンティストを僕はたくさん見てきました。ビジネス場面で言えば、それでも十分通用すると断言します!

ちなみに、データ分析の理解のために数式の理解は全く不要かというと、もちろんそんなこともありません。数式を理解することで、その理論をより深く理解できます。もし、学生時代に数学が苦手だったけど、今から勉強してみたいと思った方は、とても素敵だと思います!

継続してデータ分析を勉強するには?

データ分析技術を習得するには、継続して、データ分析の勉強をする必要があります。

僕なりの考えですが、継続してデータ分析をするための環境づくりについて、解説したいと思います。

分析するテーマを決め、能動的にデータ分析をする

書籍に書いてあることに沿って勉強するだけでなく、自分でテーマを決め、「分析しながら、分析に必要な勉強をする」を行うことで、継続敵にデータ分析技術の習得が可能となります。

テーマは、仕事をしている方であれば仕事で使うデータでもいいですし、学生であれば学科や授業のテーマでもいいです。

それ以外にも、株に興味があれば株の予測をテーマにしてみてもいいでしょう。

以下は、分析テーマとなり得るデータの一例です。

  • 仕事に関わるデータ(売上データ、製造データ、人事データ、会計データ)
  • 授業やレポートに関わるデータ
  • 株、FX
  • 国勢調査、経済センサスなどの国のデータ
  • AmazonやX(twitter)などのインターネット上のデータ
  • 地理データ
  • データ分析コンペ(kaggleなど)のデータ

初心者におすすめのデータ分析で使えそうなデータについては、こちらでも解説していますので、参考にしてください

分析するためのソフトウェアと分析マシンを用意する

継続してデータ分析を行うには、データ分析を快適に行うソフトウェアと分析マシンを用意しましょう。

初心者向けのデータ分析ソフトウェアは、Excel、R、Pythonですが、自身の分析テーマが1万件を超えるデータの場合はExcelを卒業し、RかPythonにチャレンジしてみてください。データ分析のツールについてはこちらの記事でも解説しています。

逆に、ビジネス場面で1万件以内の人事データ、製造データ、会計データなどしか扱わない場合は、継続してExcelでも十分分析は可能です。

分析マシンについては、普段から自分用にPCがある場合は、決して新たにPCを追加購入する必要はありません。

まずは、自分専用のPCでソフトウェアを継続して動かしてみましょう。また、そのPCの購入時期が旧型(目安として5年くらい前)になっているのであれば、スペックに不満が出てくるかもしれません。

もし、お金に余裕があれば、新しいPCの購入も検討してみるといいでしょう。

購入するマシンについては、世間一般的にはMacが推奨されているようです。とはいえ、Windowsでデータ分析ができないかというと、全くそんなことはありません。Windowsを使う有能はデータサイエンティストはいくらでもいますし、そもそも、企業で働き会社から支給されるPCを使うデータサイエンティストの多くはWindowsが多いです。

そのため、もし、お金に余裕があり、Macを購入したいのであれば、Macがいいですし、
そうでなければWindowsでいいでしょう。

ちなみに僕のマシンは、次のようなものです。

  • 普段使う仕事用のマシン・・・MacbookPro
  • 普段使う仕事用のサブマシン・・・Windowsノート
  • 大規模データやディープラーニング用の解析用マシン・・・Linuxを入れた自作デスクトップPC
  • 開発用のサーバーマシン・・・元々Windowsが入ってたノートにLinuxを再インストール
  • 子供の動画用のマシン・・・Chromebook

MacもWindowsもLinuxもChromebookも使っていますが、どれも一長一短です。絶対にMacじゃないとダメってこともないですね。

最後に・・・僕が初めてデータ分析との出会って感じた、データ分析の面白さ

最後に僕が学生時代に初めてデータ分析に会い、データ分析を面白いと感じたところについてお伝えして終わりたいと思います。

僕がデータ分析に始めて出会ったのは、心理学を勉強していた大学2年生の時でした。高校時代は文系で、大学受験では理系科目のいらない私立文系にしぼり受験しました。そのため、データ分析に出会うまでは、数学はほとんど勉強していない学生でした。

そのような時に、心理学を科学的に研究するための手法として「心理統計学」という分野があるのを知って、勉強し始めたのが、僕とデータ分析との出会いでした。

その頃の僕は、「心理」という全く見えないものを、データ分析を駆使することで、解明していくというプロセスにとても心が惹かれたことを今でも覚えています。そして、その時のことがきっかけで、心理統計を教えていた指導教授の元を訪ね、大学院で研究することになりました。

その後、大学院を卒業し、市場データやマーケティングリサーチを行う企業に就職し、さらに、数社を経験することで、ビッグデータのアプリ開発や分析コンサルを経験し、中小企業診断士の資格を取得後、現在は経営コンサルタント兼データ分析コンサルとして独立しています。

そのため、大学院を卒業後に職業に就いてからは心理学からは身を引いていますが、僕は常にデータ分析とは一緒にいます。

結局のところ、今でもデータ分析が好きな理由は、大学時代に経験した、「複雑で見えない現象をデータ分析を駆使することで解明すること」が、とにかく面白いからなんだと思います。

このようなことから、データ分析技術というものは本当に、長く付き合える素晴らしいスキルだと思います。一度身につけると、きっとあなたの人生をささせてくれる力強いスキルです。

ぜひ、あなたも、データ分析のスキルを身につけ、データ分析の世界に入ってみてくださいね!

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